わが子が伸びる中高一貫校&塾 2025年中学受験直前#27

中学受験の4教科で最も点数の差が開くのが「算数」だ。逆に言えば、算数が得意であればライバルに差をつけられるが、実際は最も苦戦する子が多いのも算数である。そのため、家庭教師や個別指導を頼む家庭も多いのだが、足元で注目されているのが算数の動画教材を配信する「中学受験コベツバ」だ。SAPIXのαクラスなど上位層からの評価も高いといわれているが、その強みはどこにあるのか。特集『わが子が伸びる中高一貫校&塾』の#27では、今回がメディア初登場となる中学受験コベツバ代表の村中毎悟克氏に、躍進の秘密から効果的な活用術までをインタビューした。(聞き手/ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

全ての問題をショート動画で解説
中学受験算数の「定跡」を身に付ける

――中学受験を目指す家庭を取材すると、SAPIXや四谷大塚の上位層を中心に「算数の家庭学習は『中学受験コベツバ』を活用している」という声を聞きます。そもそもコベツバとは、どんなサービスなのでしょうか。

 一言で言うと、算数特化型の動画学習サービスです。

 この数年、中学受験が盛り上がる中、供給サイドは20世紀に発明された集団塾というシステムから大きく変化していません。授業を受ける側から見た提供価値は大きく変化しておらず、ある意味ではイノベーションがない世界です。

 一方で、子どもの苦手や得意はそれぞれ違いますし、スピードも違います。塾の授業だけでは理解が追い付かない子どもが多いのが現状です。家庭で親が教えられるか、優秀な家庭教師や個別指導の先生を付けられるかで格差が出ていました。

 その部分をITの力を活用して変えたい、そして全てのご家庭に専用の家庭教師を届けたい。そういった思いがコベツバの起点になっています。

「スキルや課題の定義および見える化」をすることで、子どもの苦手と志望校頻出を掛け合わせた分析や問題作成など、個別最適化トレーニングにも取り組めます。

村中毎悟克・中学受験コベツバ代表むらなか・まさかつ/進学塾である浜学園の算数科において、日曜志望校別特訓灘コース、4年生から6年生の最高レベル特訓を担当。その後、リクルートエージェント(現リクルートキャリア)、プロ家庭教師を経てEdtech(エドテック)サービス「中学受験コベツバ」を創業。家庭教師としての合格実績校(一部抜粋)は、筑波大学附属駒場、灘、開成、麻布、武蔵、桜蔭、女子学院、雙葉、神戸女学院、西大和学園、他多数。

――どの辺りが評価されていると考えていますか。筑波大学附属駒場や灘、開成、桜蔭など難関校を中心に合格実績も伸びています。

 簡潔性、一貫性、連動性、個人最適性、主体性、Peer効果(他の人の存在)ですね。個別指導や家庭教師と比較すれば毎月の費用がかからないということもあるでしょう。少し説明させてください。

 簡潔性については、コベツバは全ての問題の解説を1~5分のショート動画で用意しています。不安がある問題や強化したい問題をピンポイントで選んで効率よく学習を進めることが可能です。

 一貫性は、解法の選択や細かな表現・工夫が一貫していることです。これは1人の脳で作るからこそ、の部分もあります。混乱なく学習を進められるため、効率的に解法を習得でき、模試・入試本番でも講師の声で解法が思い起こされるレベルになるはずです。

 連動性はポイントという抽象骨格と、問題という具体が常にひも付いていることです。算数・数学という学問は、具体(解き方)の暗記だけで乗り切れるものでもなければ、純粋に地頭だけで問題解決できるものでもありません。

 抽象(コア)となる解法を習得し、具体の問題に適切に当てはめる能力が求められます。これは、将棋において「定跡」を十分理解・演習することが成績の飛躍につながるのと同じで、算数も定跡を習得しておくことが大切です。

 実際の入試問題も、パターンから外れている問題が多いように見えて、結局は基本の型をアレンジして対応していくものがほとんどです。型を知らずに対応すると、時間をかけても上達せず、費用対効果が悪いわけです。

次ページでは「SAPIX上位生からも評価される理由」や「コベツバの使い方」に加えて、「動画サービスに対する批判」まで村中代表に直撃。なぜコベツバを活用すると成績が伸びるのかを明快に答えてもらった。