対面なら、うなずきやアイコンタクトで自分の意思が伝えられますが、電話は顔や表情が見えないので、その分、あいづちを丁寧に入れていく必要があります。

「ええ」「はい」「そうなんですね」「へえ~」などいくつかのパターンを取り入れたり、相手が言ったフレーズ、たとえば「昨日?」「買い物?」などをはさんだりしてバリエーションをつけましょう。同じあいづちだと単調になってしまい、上の空の印象を与えてしまいます。

 ところで、最近多いのは「なるほど」というあいづちです。目上の人に使わないとする説があり、目下からの「なるほど」を不快に感じる人も多いようです。

書影『電話恐怖症』『電話恐怖症』(朝日新聞出版)
大野萌子 著

 そのため最近では「なるほどですね」という妙なあいづちも生まれました。この間も、若い部下をつれて取引先に行ったら、目上の相手に向かって「なるほどですね」を頻発していて、本当に困ったという話を聞いたばかりです。

「なるほど」も「なるほどですね」も、そればかり連続して使うのはやはりやめたほうがいいでしょう。とくに「なるほどですね」は奇妙な印象を受けますので、使わないほうがいいと思います。

 ただ、「なるほど、○○なんですね」と、なるほどと思った理由をつければいいのではないでしょうか。「なるほど」を何回か言ってしまったら、「こういうことなんですね」とつけ加えたり、「そうなんですね」に言い換えたりするようにしましょう。