すると、仕事内容が自分の思い描いたものと違うと落胆したり、上司から日常の行動をチェックされ、成果も求められるという社会人としては当たり前のことを堅苦しく感じたり、プレッシャーを感じ、逃げ出そうとする人もいるかもしれません。

 結局、仕事の面白さを経験する前に半身に構えてしまい、「こんなはずではなかった」「友達はもっと楽しそうに働いている」といって転職活動を始める人もいるのではないでしょうか。

転職を繰り返すような人は
結局どの仕事にも熱中できない

 隣の芝生はどうしても青く見えるものです。ですから稲盛さんは、「与えられた仕事が好きになれない人は結局転職するけれど、そういう人はどんな仕事も嫌いだ」と言っているのです。

 稲盛さん自身、松風工業に入社してすぐに転職活動を始めた頃を思い出し、「もし転職できても、そこが気に入らずに、また転職をしようとするかもしれない。いつか、自分の思い描いた仕事が見つかるかもしれないが、見つからないかもしれない。見つからず転職ばかりしていると、まともな人生が送れるはずはない」と気付いたと話しています。

 そして、反省を込めて、「自分が何を好きかも分からないくせに」と言うのです。働いた経験もほとんどないのだから、どんな仕事が自分に合っているか分かるはずもなく、「待っていました。この仕事はあなたにぴったりです!」というような奇跡は起こらないというのです。