稲盛さんが松風工業で自分の専門外のセラミックの研究開発に熱意を持って打ち込み続けることができたのは、そこに大きな意義や価値を見出したこともあります。稲盛さんが開発したのはテレビを構成する多くの部品の中でも安価で小さな絶縁部品でした。他の会社の技術者は、その意義や価値を見出せず、結果として関心を持てなかったので、開発は進んでいませんでした。
しかし、稲盛さんはそこに「日本のエレクトロニクス産業の発展に貢献できる」という大きな意義を見出し、高いモチベーションを維持することができたのです。「どんな仕事にも社会的に大きな意義があり、尊い価値がある」と稲盛さんは話しています。それを見出せるかどうかで、仕事に取り組む姿勢は大きく変わってくるのです。
以前、小さな塗装業を営んでいる経営者が「塗装業は、きつい、汚い、危険の3Kの仕事なので、社員のモチベーションが上がらないばかりか、すぐに辞めてしまって困っています。どうしたらいいでしょうか?」と稲盛さんに質問したことがあります。
それに対して稲盛さんは、こんなふうに答えています。