(1) 相手の要望を知る必要はない。あくまで自分の望みだけをぶつけていけばよい。
(2) 何を望んでいるのかを教えてくれないと、こちらもお教えできないと伝える。
(3) お互いの要求を、「いっせーの」で教え合おうと提案してみる。

お互いの望みを、同時に教え合おう

 自分が何を欲しがっているか、相手にバレてしまうと、交渉は難航する。そのため、お互いにホンネを出さず、“腹の探り合い”をつづけてしまうことがよくある。特に国際的な外交交渉のときに、こういう状態が起きやすい。

 しかし、ビジネスの交渉の場合においては、お互いに、さっさと腹を割ってしまったほうが、スピーディな決断ができる。隠しごとをしながら、ホンネを読み合いながら交渉しても、時間ばかりかかるし、しかもそれで話がうまくまとまればいいのだが、交渉が決裂することにでもなれば、時間と労力をすべてムダにするからである。

 そこで“腹の探り合い”という無意味な手続きをなくそうとするのが、(3)のテクニックである。たとえば、お互いに望む価格を教え合うときには、「いっせーの」という掛け声につづいて、「300万」「500万」などと自分の望みを言うのである。最終的には、その中間をとって、「400万」で妥結できないかを話し合うのだ。

 このテクニックは、「同時暴露法」(Simultaneous-revelation procedure)などと呼ばれている。お互いが、絶対にウソをつかないということが大条件であるが、あらかじめ「腹の探り合いはやめましょうよ。『いっせーの』で本当のところを一緒に言いませんか?」と頼んでおけば、うまくいく。

 小さな子どもが、お互いに好きな子の名前を教え合うときに使いそうなテクニックであるが、なかなか捨てたものではない。なにせ一瞬で、お互いに相手が望んでいるものがわかるので、余計な労力をすべてシャットアウトできるからだ。

 もちろん、お互いに声を出し、あまりに要求に開きがあるのなら、その交渉はうまくいかない。しかし、それにしても、無意味な商談をダラダラとつづけることは避けることができ、「これでは、お互いに条件を飲めませんね」と納得しながら交渉を切り上げることもできる。