「歳をとった親が言うことを聞いてくれない」。誰もが一度はこんな経験をしているのではないでしょうか。「親がいつまでも自分のことを若いと思っている」「病院ギライがなおらない」「お酒の量が減らない」などその悩みはさまざまです。親のことを思って言ったのにもかかわらず、いつも喧嘩になってしまうのは、実は伝え方に問題があります。そんな問題を解決すべく、『歳をとった親とうまく話せる言いかえノ―ト』が発刊されました。本記事では著者である萩原礼紀氏のインタビュ―記事をお届けします。

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高齢の親がくどくどお説教をしてくる

――「高齢の親がくどくどお説教をしてきて困る」という悩みをよく聞きます。実際はどうなのでしょうか。

萩原礼紀(以下、萩原):そういった悩みは多いと思います。私の友人も、お母様から「海に行くのは危ないからやめなさい」としつこく言われて、なかなかレジャ―を楽しめないと悩んでいたことがあります。

 ほかにも、「あれをするな」「これをするな」と言われるとうんざりしてしまいますよね。こちらもいい大人なわけですから放っておいてくれとなる気持ちもわかります。

 ただ、そんなときに「私の勝手でしょ!」と返そうものなら高確率でケンカになってしまいます。親としては皆さんを心配してあれこれ言っているだけですから、そこに悪意などないのです。

 それなのにもかかわらず、突き放すような一言を返してしまったら親子関係は拗れてしまいます。

 先ほどお話しした私の友人のお母様も、ニュ―スなどで見聞きする「海や川での水難事故」に大きな恐怖心を抱いているようで、「毎年、海や川で多くの人が死んでいる。事故に巻き込まれるかもしれないから、海に行くのは中止しなさい」というわけです。この意見そのものは間違っていないですよね。

――では、どうしたらいいのでしょうか。

萩原:まずは親の意見をしっかりと受け止めたことを伝えられるといいでしょう。たとえば、「アドバイスをありがとう。〇〇だと思っているんだよね? あっているかな」と伝えたらどうでしょうか。

 親が何度もお説教をしてくるのは、自分の言葉が子どもに届いているか不安だからです。「私の思いは伝わっていないから、もっと言わなきゃ」となるのです。ですから、まずは「言っていることは理解している」ことを伝えましょう。

 すると、親も「子どもに思いは伝わっている」と、ひとまず安心します。

 そのうえで、「こういった対策をしっかりするから、安心してね」や「こういう方針で進めるようにするね」と、皆さんの意見を伝えましょう。この流れを踏むと、考えを理解してもらいやすくなります。

 皆さんも相手を思って言ったのに「私の勝手でしょ!」と言われたらショックですよね。それは親も同じです。

 ですから、まずは親の言葉を受け止めるステップを踏みましょう。それだけで、状況は改善されるかと思います。

――ありがとうございます。勉強になりました。