好きな作家や翻訳家ができると、芋づる式にどんどん読みたい作品が増えていきます。アメリカ文学における柴田さんのような存在を見つけると、読みやすくて面白いので、本がどんどん読めてしまいます。積極的に、好きな作家や翻訳家を探していきましょう。
池澤夏樹さんも、世界文学の読み方を多く紹介しています。池澤夏樹さんが信頼できると思った人は、池澤夏樹さん経由で知った何百冊を読む。すると一気に世界が開かれていきます。自分にとって「この人はフィットするな」というエッセイストを見たら、とにかくその人をひたすらマークする。
このような「水先案内人」は、新しい世界に踏み込むためにはやはり必要です。私にとっては、それは小林秀雄でした。小林秀雄はとてもわかりづらい文章を書く人で、それが私にとっては変な魅力があり、取りつかれてしまいました。これは珍しい例かもしれません。
ここまで変わった案内人を探すことはありません。よりすっきりと世界を案内してくれる、あなただけの案内人を見つけてもいいかもしれません。ほかに、私が最近好きな作家は、能町みね子さんです。能町さんのエッセイは視点が知的で刺激があります。
好きな作家、翻訳家、解説者、評論家をつくって、広げていくという時間を夜につくると、すんなりとその世界観に浸っていけます。自分の気に入った空間に浸りながら知識を深く学べるのが、「夜読書」のよさです。
夜は完全に「自分の時間」「自分の王国」であるという喜びに満ちながら、文学の世界に浸る。これが知識の量を増やす一番の近道です。