圧倒的に面白い」「共感と刺激の連続」「仕組み化がすごい」と話題の『スタートアップ芸人 ―― お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』著者・森武司氏は、2005年の創業以来、18年連続増収増益を達成し、年商146億円となった。ここまで会社を成長させてきた秘密は何か? 本書からより深い学びを得ようと、インタビュー企画を実施。今回インタビューするのは、元芸人であり、FIDIAの不動産事業部を任されている水上雄一氏。今回は芸人から不動産事業の仕事にキャリアチェンジしたことで、お金に対する価値観がどのように変わったのか話を伺った。元芸人ならではのお金に対する驚きの価値観とは?(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

「お金で失敗する人」がやらないこと・ワースト1Photo: Adobe Stock

お金がなかった下積み時代

――水上さんは現在、不動産事業に携わっていらっしゃいますが、芸人時代に比べて経済的にだいぶ安定したのではないでしょうか。お金を持つようになってから、価値観や考え方に変化はありましたか?

水上雄一(以下、水上):そうですね、だいぶ変わりました。僕は元々ものすごく貧乏なところからスタートしていますので。お金が入ってくるようになってきて、逆に守りに入るというか。「今稼いでいるお金が減ったらどうしよう」と不安に思うことが増えましたね。

芸人仲間でも自己破産したり、お金が原因で辞めていってしまう人も多く見てきたので、お金を失う怖さが身に染みています。
なので、お金に関係なく夢を追いかけている人は本当に尊敬しますね。

――若手芸人の皆さんはお金で苦労されますもんね。水上さんが若手芸人だった頃を振り返ると、どんな思い出がありますか?

水上:今思えば、お金もないのによくやっていたな、と感じます。あの頃はお金に対して本当に無頓着でした。周りには、借金してまで飲みに行ったり、ギャンブルに生活費を注ぎ込んだりする人もたくさんいましたね。月に5万円しか稼いでいないのに、家賃5万円のアパートに住んでいる人とか(笑)。

そんな中でも、芸人仲間同士で助け合いながら、なんとか生き抜いていた感じです。結局、夢や目標があったからこそ乗り越えられたのだと思います。

「1000万円」に対するビジネスマンと芸人の価値の違い

――芸人時代と今では、お金の稼ぎ方も大きく変わったと思います。仮に1000万円稼ぐとしたら、芸人として1000万円を稼ぐのと、今の不動産事業で1000万円稼ぐのでは、どちらのほうが喜びが大きいですか?

水上:それは、やっぱり芸人として稼いだ1000万円のほうが嬉しいですね。ただ、もし当時の僕が1000万円を手にしていたら、きっと全部遊びや奢りに使ってしまっていたと思います。当時は1000万円というお金の価値が全くわかっていなかったので、「1000万円あれば全部使える!」みたいな感覚で、あった分だけ散財してしまったと思います。

――芸人の頃のほうが、お金を使えること自体が純粋な喜びになっていたんでしょうね。

水上:そうですね。今はビジネスをやっているので、1000万円という金額に対する捉え方がまったく違います。

今、仮に1000万円手元にあったとしても、感情があまり入らずに「1000万円という数字」という捉え方しかできなさそうです。

「どう使えば事業をさらに広げられるか」とか、「この資金をどうやって増やすか」のように、次のステップに繋げるための「ビジネスの資源」としてお金を捉えると思います。

どちらがいい悪いではなく、1000万円に対する価値観が全然違うと思いますね。

――若い時の金銭感覚のまま散財してしまい大失敗してしまう人も多いと思います。お金に対する価値観を変えるのはなかなか難しいものですが、水上さんが変われたきっかけは何でしょうか?

水上:やはり、芸人仲間がお金で失敗していく姿を間近で見ていたことが大きいですね。

芸人を辞めてからお金について真剣に考えるようになり、自分でビジネスを始めたことで、金銭感覚が養われていったと思います。
なので、今回のお題である「お金で失敗する人がやらないこと・ワースト1」を答えるとすると、「お金について真剣に考えないこと」ではないかと思います。

『スタートアップ芸人』でも、森社長が芸人を辞めてから億単位で稼ぐビジネスマンになるまでのマインドセットを語っていて、僕も非常に刺激を受けました。夢を追いかけている人や、経済的な悩みを抱えている人にとって、参考になる話が多いと思います。

(本原稿は、森武司著『スタートアップ芸人 ―― お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』に関連した書き下ろしです。)