圧倒的に面白い」「共感と刺激の連続」「仕組み化がすごい」と話題の『スタートアップ芸人 ── お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』著者・森武司氏は、2005年の創業以来、18年連続増収増益を達成し、年商146億円となった。ここまで会社を成長させてきた秘密は何か? 本書からより深い学びを得ようと、インタビュー企画を実施。今回は、FIDIAのグループ会社のひとつであるイルミルド株式会社の西澤正一次長にインタビューを実施。西澤氏は、イルミルド・西俊彦社長の右腕として、設立当初から在籍しているメンバーの一人だ。そんな西澤氏は『スタートアップ芸人』をどう読み解いたのか。今回は偶然をチャンスに変える法について伺った(ダイヤモンド社書籍編集局)。

天職に就いた人だけが知っている偶然をチャンスに変える法Photo: Adobe Stock

アメリカ生まれの日本育ちの右腕の素顔

――西澤さんは、FIDIAの化粧品開発・販売を手掛ける「イルミルド」西社長の“右腕”だとか。肩書や業務内容を教えていただけますか。

西澤正一(以下、西澤):イルミルドの設立(2014年10月2日)当初から在籍しているので、今年で入社11年目になります。
肩書は次長で、部署全体の管理業務――いわゆる間接部門を担当しています。
間接部門は、売上が発生しないものの、企業を運営していくには必要な業務。
なお、社長の西が企業の売上に直接つながる直接部門の責任者です。

――西澤さんは少々変わった経歴のようですね。FIDIAやイルミルドのスタッフから「ボビーさん」と呼ばれているのはなぜですか。

西澤:僕は生まれはアメリカです。ただ、親が転勤族だったので、日本の中学~大学を卒業しています。
2012年の終わりに日本へ帰ってくるまで、19年もアメリカにいました。
「ボビー」というニックネームの由来は、第一言語が英語だったことに関係しています。
幼い頃、2人の姉に対抗するように、「I'm not a baby!(僕はもう赤ちゃんじゃないよ!という意味で)」と言っていたそうで(笑)。「baby」がうまく言えなかったことから派生して、「bobby」がニックネームになった次第です。

――ニックネームが定着していますが、もしかして名刺の表記も「ボビー」さんですか?

西澤:いえ、名刺は漢字のフルネームです。
社内では「西澤」と呼んでもらうつもりが、入社前にニックネームが周知されてしまい、後戻りできず今に至ります。

偶然の出来事をチャンスに変えるには?

――では、入社のきっかけを教えていただけますか?

西澤:アメリカから帰国後、先に帰国していた仲のいい先輩に誘われ、ゴルフに行ったんです。そのときに出会ったのが、先輩の友人であるSuprieve(現FIDIA)の役員でした。
時期的には、EC事業をイルミルドに分社化する、約1年前のこと。
僕はアメリカでレストラン経営などもしていたことから、英語力とマネジメント力を買われ、「ちょっとアルバイトしてみない?」と誘っていただきました。
そこから約4か月のアルバイト期間を経て正社員になりました。

――就職に際し、大手や外資系など選択肢がたくさんあったと思いますが、なぜベンチャー企業の「イルミルド」を選んだのでしょうか?

西澤:今でもよく覚えているのが、森社長ら3名の役員による面談です。
履歴書と職務経歴書を持参するも、職務経歴書を一読されただけで、「書類はもうええから、仕事の話をしよう」と。
そこで実際の業務内容や、熱い話をたくさん聞かせていただき、合間には冗談もたくさん飛び出しました。真面目さとカジュアルさのバランスが、とても心地よかったんです。
というのも、僕はアメリカでの社会人経験しかなかったもので、日本の企業風土に合わないのではないかと、実はずっと不安でした。

それが面談で、いい意味で裏切られまして。なんだか楽しそうな会社だな、この会社で仕事をしたら面白いだろうなと感じたのが一番の動機です。
今回、改めて振り返ると、異業種・未経験で入った僕が、アルバイトから正社員になり、早11年。今やイルミルドでは社長の西さんとともに、最古参メンバーの一人となっていることが不思議でなりません。天職に就けて幸せです。

予期せぬ縁で仲間に加わったわけですが、ご縁とは、人と人が出会い、交流することで生まれるつながりを意味するそうです。
僕の場合は、帰国後も先輩と交流を続けていて、「ゴルフに行った」という、なにげないけれども確実に行動を起こした結果が今につながっています。
人や仕事に出会うのも、つながるのも自分次第なのだとつくづく感じています。
そんな不思議な縁の連続で今のFIDIAは11事業になり、すべてが黒字化しています。その秘密は「仕組み化」。それを明かした『スタートアップ芸人』は大いに参考になるかと思います。