室内もギア独特の世界。インパネをはじめ、室内カラーは、ブラックを基調に、カーキグリーンの差し色を巧みに配したシックな印象でまとめる。シートファブリックは撥水処理済み。ラゲッジフロアは、汚れたり濡れたりした遊び道具でも安心して積み込める防汚タイプになっている。駐車ブレーキは電気式が採用され、足元スペースはすっきりとした印象。またシートヒーターにプラスして、ステアリングヒーターも新装備する。
新型は、後席ユーティリティと快適性を高めるマルチユースフラップを標準装備。これはワンタッチでレッグサポート/オットマン/荷物ストッパーの3モードに展開する後席用便利アイテム。広い後席をリビングのような「くつろぎスペース」にも、大切な荷物をしっかり支える「安心スペース」にもアレンジすることが可能だ。
室内は広く、アレンジ自在。1~2列目シートを倒した空間をフラットに仕上げるリラックスクッションをオプションで用意する。リラックスクッションを有効活用すると、車中泊も工夫次第で快適にこなせる。スペーシア・ギアは、Kカーのコンパクトサイズながら、ユーザーのアイデアしだいで、大型モデル以上のユーティリティを発揮する「小さな大物」である。
走破性はライバルに負けない
とくに4WDの機能性はハイレベル
メカニズム面は、既存の標準/カスタムと基本的に共通。ライバルとなるデリカミニのような、オフロード走行時のタフさを高めるチューニングは行っていない。
これはギアが、アウトドアを非日常ではなく、日常と捉えているため。ギアは通常ユースの快適性、走りのスムーズさを大切にしたクルマ。そのため足回りはあえてハードな設定とはしていないのだ。とはいえジムニーやハスラーなど、悪路走破性に優れたクルマを手がけるスズキの新作である。開発陣は「キャンプサイトなどを含め、通常ユースで出会うシーンでの走破性はライバルに負けません。とくに4WDの機能性はハイレベルです」と胸を張る。
ターボ仕様のカスタムの完成度の高い走りに感銘を受けた筆者としては、そのスポーティさにも期待が高まる。ターボ仕様は、パドルシフト、パワーモードが標準装備され、フロントブレーキはベンチレーテッドタイプにグレードアップする。武骨かわいいギアでワインディングを疾走。いち早く遊びのフィールドに到達するのは、なかなか楽しそうである。
(CAR and DRIVER編集部 報告/横田宏近 写真/山上博也)