【プロが伝えたい】「片づけ」の呪縛から解放される方法

大掃除をしなければならないけれど、忙しすぎてやる気が出ない。
こんなとき、片づけが苦手な自分を責めてしまったり、他人に迷惑をかけているのではと感じたりしていないだろうか。
料理が苦手、手先が不器用、計算が遅い。人にはさまざまな得手不得手がある。なのに「片づけができない」だけで、罪悪感のようなものを抱いてしまうのはなぜだろうか。
登録者数16万人の人気YouTube「イーブイ片付けチャンネル」の運営者であり、書籍『1万軒以上片づけたプロが伝えたい 捨てるコツ』の著者・二見文直氏に、片づけにまつわる「気にしい」の存在と、「片づけの呪縛」から解き放たれるための考え方などを伺った。
心に響くヒントがきっとここにあるはずだ。（構成／ダイヤモンド社・和田史子）

片づけるたびに、依頼者さんから言われる「ある言葉」

これまで1万軒以上のお家に伺いましたが、依頼者さんが必ず口にされる言葉があります。

「ごめんなさいね」
「申し訳ないです」
「お恥ずかしい話なんですけど」
「いやもう、こんなに汚いのイヤですよね」
「こんな部屋に入ってもらうの、嫌だと思うんですけど…」

とにかくみなさん、謝られます。そのたびに僕の胸は痛みます。

「すいません、すいません」と何度も謝り続けるので、「もう謝らないでくださいね」とお伝えすることもしょっちゅうです。

「お金払うからこの部屋片づけてね」というような人は、ほとんどいません。

本当に、みなさん気遣いの人やと思います。

謝る必要などありません。もちろん、依頼者のお心遣いで言っていただけるのであればとてもうれしいのですが、少しでも何か罪悪感とか劣等感のようなものをお持ちであれば、それは大きな誤解であることを、いつもお伝えしています。

「本当に申し訳ないです。スイーツを作れないので、誕生日ケーキを作ってもらえますか」
「お恥ずかしい話ですが、手先が不器用なので髪の毛を切っていただけますか」

こんなふうにケーキを注文したり、ヘアカットをお願いしたりする人はいないのに、なぜか片づけに関しては「申し訳ない」という気持ちを持ってしまうのです。

これには理由があります。

「汚部屋」に気づいていないAさん

足の踏み場もないくらいに部屋が散らかってしまい、自分ではどうしようもなくなってしまう。いわゆる「汚部屋」と呼ばれる状況に陥ってしまうのには、さまざまな理由があります（詳しい記事はこちらに）。

例えば、仕事が忙しすぎて、帰宅も深夜。朝のゴミ出しに行けず、気づけば部屋の中にはゴミ袋がいっぱい。こんな状態のまま暮らしているAさん。

Aさんは勤勉で真面目。たまにある休みは疲れてヘトヘトなので、家から一歩も出られません。仕方なく配達で食事を取り、通販で買い物をします。そして食べ物の容器やダンボールなど、ますますゴミやモノが増えていきます。

ところが、Aさんは仕事のことで頭がいっぱいなので、部屋中ゴミだらけモノだらけの状態にまったく気づいてません。自分のことはいつも後回し。仕事ができる人に多いパターンです（詳しい記事はこちらに）。