11月26日、全国の地方銀行に激震が走った。純投資に変更した政策保有株について、金融庁が過去5年分にさかのぼって開示させる方針を示したのだ。実質的に政策株であるにもかかわらず純投資に振り替える “保有株ウォッシュ”の疑念が地銀を中心に渦巻いていたことに対応した措置だ。特集『新・銀行サバイバル メガバンク 地銀 信金・信組』の#2では、この問題を担当してきた新発田龍史審議官に、銀行が政策株を保有する問題点について聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)
過去5年分開示義務の新方針
保有株ウォッシュの疑念解消へ
――地方銀行を中心に、実質的に政策株であるにもかかわらず保有目的を純投資に振り替える “保有株ウォッシュ”の疑念があります。現状を、どのように見ていますか。
政策株が純投資に紛れてしまう保有株ウォッシュの疑念については問題視しており、先日「企業内容等の開示に関する内閣府令」改正案のパブリックコメントを開始しました。
純投資に振り替えた政策株については、当期を含む最近5事業年度の銘柄名、株式数、残高、保有目的の変更年度、保有目的の変更理由、変更後の保有または売却に関する方針を開示させます。この決定により、2025年3月期の有価証券報告書から開示が適正化され、政策株が純投資に紛れる懸念は払拭できると考えています。
また、開示のガイドラインを改正し、パブリックコメントの回答内容などを踏まえて、「純投資目的」の考え方を明示します。発行者との関係において有報提出会社による売却を妨げる事情が存在する株式は、純投資目的で保有しているとはいえないとの解釈も示すことにしています。
――そもそも、銀行が政策株を保有することは問題だと思いますか。
その件に関して最近、私が市場関係者から聞いて驚いた話がありました。
次ページでは、新発田審議官が「銀行免許を返上した方がよいのではないか」「ぶん殴られても仕方がない」と指摘する銀行の言動について聞いた。