新・銀行サバイバル メガバンク 地銀 信金・信組#3Photo by Yasuo katatae

本格的な金利上昇時代に入り、銀行各行は個人向けサービスの再編と投資を加速させている。とりわけみずほフィナンシャルグループと三菱UFJフィナンシャル・グループは24年秋以降、先行する三井住友フィナンシャルグループに追いつくべく、他社との資本業務提携を進めるなど一気に動いた。だが、これで終わりではない。再編第2幕が間もなく始まりそうだ。特集『新・銀行サバイバル メガバンク 地銀 信金・信組』の#3では、業界内の水面下の動きを探った。(ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)

金利上昇時代に入り注目
個人向け金融サービスへ投資続々

「マスリテール、特に個人向けサービスを強化する――」

 2024年3月に日本銀行がマイナス金利を解除し、本格的な金利上昇時代に突入して以降、銀行首脳は事あるごとに個人向けの金融サービスの強化について言及している。

 金利上昇が始まり、企業への貸出金の金利が上昇して利ざやの改善が期待できるほか、有価証券での運用による収益増加も見込める。それらの原資は主に預金であり、メガバンクであれば総預金の約半数、地方銀行や信用金庫・信用金庫であれば約7割が個人預金だ。その個人預金を確保するために、個人向けサービスを強化し、魅力を高めることが重要となっているのだ。

 3メガバンクは、マスリテール強化へ競うように手を打っている。先行するのは三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)だ。マイナス金利解除の1年前の23年3月に、個人向けデジタル金融サービスの「Olive」(オリーブ)をスタート。5年後に1200万件のアカウントを獲得するとぶち上げた。

 SMFGはSBIグループとの資本業務提携を手始めに、他社との提携を矢継ぎ早に公表。さらに共通ポイントの「Tポイント」と自社ポイントのVポイントを24年4月に統合させた。

 ライバルの三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)とみずほフィナンシャルグループ(FG)もSMFG陣営を追いつくべく、24年秋以降、続々とマスリテール強化へ動いた。

 だが、業界再編はこれで終わりではない。水面下では、第2幕が始まろうとしているのだ。次ページでその最前線を追った。