落ちこむ部下と顔を覗きこむ上司写真はイメージです Photo:PIXTA

近頃は、親や学校から叱られた経験がなくほめて育てられたせいか、ちょっと注意しただけでひどく落ち込み、仕事が手につかなくなってしまう若手部下の扱いに、多くの管理職が頭を悩ませている。そこで有効なのが、心理学でいうところの「原因帰属の体質改善」だ。一体どういうことなのか、具体的に解説していこう。(心理学博士 MP人間科学研所代表 榎本博明)

最近職場で目立つ、すぐに傷つき落ち込む部下

 ちょっとしたことで落ち込みやすい従業員に頭を悩ませている経営者や管理職は非常に多い。

 しっかり準備をしたのでうまくいくと思っていたプレゼンで大失敗をしてしまったとか、感触がいいから絶対に取れると思っていた仕事の受注に失敗したとか、先方の戦術にはまり契約条件で譲歩しすぎて「これじゃウチにほとんどメリットがないじゃないか」と上司から怒鳴られたとか、大事なときに遅刻して取引先担当者からきつく叱責されたとか、このようなことがあれば、ひどく落ち込むのも当然だろう。

 ところが、このところ目立つのは違うタイプだ。たいしたミスではないが修正するようにアドバイスしたり、先方に失礼な態度があったため改めるように注意したりすると、まるで自分を全否定されたかのように固まってしまう、すぐに傷つき落ち込む従業員が増えている。

 注意すると傷つき落ち込むからといって、間違ったやり方をしているのをそのまま見逃すわけにもいかないし、取引先が気分を害しかねない失礼な態度を注意しないわけにもいかない。でも、うっかり注意して落ち込ませてもややこしいので、非常に気をつかうことになる。

 最近は、何かとハラスメントではないかと言われる時代ゆえに、ハラスメントをしてるのではと周囲から疑わたり、本人がそう訴えてきても困るので、落ち込みやすい人物には気をつかわざるを得ない。

 そのような落ち込みやすい人物を、もう少し打たれ強くしてやれないだろうか。落ち込みやすいのは、周囲が気をつかって大変なだけでなく、本人もとてもつらいはずだ。もっとタフな心の持ち主になれたら、周囲の人も本人も大いに楽になるだろう。

 そこで重要となるのが、前回も取り上げた「原因帰属」のクセである。