会社やチームのリーダーとして、いま、求められているリーダーとはなんだろうか? 責任をとること? 部下やメンバーの話をよく聞いて、仲を深めること?
『リーダーの言語化 「あいまいな思考」を「伝わる言葉」にする方法』の著者である木暮太一氏は、リーダーの本来の役割は、どこに向かって進むべきかを「言葉で明確に伝えること」だと話す。このたび木暮氏に、リーダーが身につけるべき言語化スキルについて、シーン別に対処法や解決策を教えてもらった。(取材・構成/山本奈緒子)
バズワード的にあいまいな単語が使われやすくなっている
――ビジネスシーンでは、実のところはよく分からないあいまい語が使われることが多いです。付加価値とかブランディングとか。それって明確にはどういうことかと聞かれると、答えられない場合が大半だと思います。こういったあいまい語慣習はどのように改善していけばいいか教えてください。
木暮太一(以下、木暮):あいまい語は本当にたくさんあります。付加価値とかブランディングとか心理的安全性とか。最近はバズワード的に使う風潮になっていて、みんな意味が分からないのに使っている印象です。
なぜ言葉があいまいになってしまうかと言えば、一番に言えるのは「目的が整理されていないから」なんです。
リーダーが「付加価値を提供しよう」と口にします。でも、正直なところそれだけでは何をしていいのかわかりません。「付加価値」という言葉でわかった感じがしてしまいますが、じつは目的がわからないんです。
結果、「付加価値が必要だよね」「そうですね」という展開にしかなりません。ここで、「何のために付加価値を提供するんですか?」という質問が出ないわけです。その目的がリピートを増やすためなのか、単価を上げるためなのか、休眠顧客を彫り起こすためなのかによって、考えるべき付加価値というのが変わってくるはずなのに、そこはまったく考えていないという……。
――他にもよく使われている無意味なあいまい語ってどういうものがありますか?
木暮:「満足度」もそうですね。僕はよくセミナーや研修をおこなっていますが、参加者アンケートにある「満足度」は見ないんです。だって「満足度はどのくらいですか?」と聞かれたところで、それって10段階でいったら9か10しかつけられないような質問じゃないですか。どちらにしろ忖度して9か10しかつけないのであれば、それに目を通す意味はなくなります。
そして何のために満足度を聞くのか、それが整理できていなかったら、答えてもらっても意味がないと思うんですよね。
だからまずは「目的」です。あいまいな言葉が出てきたときは、「それの目的は何なのか」と考える習慣をつけましょう。