大手不動産デベロッパーのヒューリックが保有していた大型高級ホテル「グランドニッコー東京 台場」の売却先がダイヤモンド編集部の取材で分かった。入札には総合商社も参戦したが、最終的には日本での投資拡大を狙う外資系ファンドが取得した。取得額は1000億円規模に上るとみられる。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)
売却額は1000億円規模
外資系ホテルへのコンバージョンは?
グランドニッコー東京 台場は、もともと日本生命保険と私鉄大手の京浜急行電鉄グループが開発し、「ホテル・グランパシフィック・メリディアン」として1998年に開業した。地上30階地下3階建て、客室数882室のフルサービス型の大型高級ホテルだ。
建物を賃借しホテルを運営していた京急が05年にホテルも取得。その後ヒューリックが16年に底地を購入し、19年にホテルも取得した。底地の購入に合わせ、グランドニッコー東京 台場にリブランドしていた。運営は、ホテルオークラグループのオークラ ニッコーホテルマネジメントが受託していた。
ヒューリックが莫大な投資をかけて改装し、再出発したグランドニッコー東京 台場は当初から苦戦を強いられた。グランドニッコー東京 台場のすぐ目の前には、米ヒルトングループのホテル「ヒルトン東京お台場」が強烈なライバルとして立ちはだかった。新型コロナウイルスの感染拡大で大ダメージを被り、コロナ禍からの復活も出遅れていた。
運営会社であるグランドニッコー東京の決算公告によれば、17年3月期から8期連続で利益剰余金はマイナスの赤字経営が続いている。21年3月期から直近の24年3月期は、純資産がマイナスとなり債務超過に陥っていた。
複数の関係者によると、訪日外国人観光客(インバウンド)の需要が堅調であることから、ヒューリックは「売り時」と判断したもようだ。入札は、不動産仲介会社を通じ、外資系ファンドを中心に呼び掛け、今年夏ごろに実施した。ヒューリックは10月下旬に、グランドニッコー東京 台場の売却を公表し、売却先については明らかにしていなかった。
次ページでは、グランドニッコー東京 台場を取得した外資系ファンドに加え、入札に参加した総合商社の実名も明らかにする。また業界関係者への取材を基に、グランドニッコー東京 台場の今後の“行く末”についても占う。