三井不動産や森トラストは不動産会社によるホテルビジネスの王道を示してきた。大和ハウス工業、積水ハウス、ヒューリックが歩むのは王道とは異なる上に、三者三様。彼らは不動産界のホテル王者に上り詰められるのか。特集『ホテルの新・覇者』(全18回)の#15では、三者三様の戦略の実態に迫る。(ダイヤモンド編集部 大根田康介)
王道の三井不動産、森トラスト
わが道を進む3社
不動産会社の中で、ホテルビジネスで抜きんでている王者ポジションにいるのは三井不動産と森トラストだ。
両社はポートフォリオに多様性を持たせている。ラグジュアリーホテルやシティホテルを主要都市部でも地方のリゾートでも展開。これにより顧客のいろいろなニーズに応えるとともに、新型コロナウイルスの感染拡大のような局面ではリスク分散にもつながった。
自社でホテルブランドと会員組織を持ちながら、米マリオット・インターナショナルなど外資大手ホテルチェーンともがっちり手を組み、彼らのブランド力や集客力を活用している点でも両社は共通している。
これを王道とすると、その背中を追う立場にいる大和ハウス工業、積水ハウス、ヒューリックの戦略は三者三様、わが道を進んでいる。大和ハウス工業と積水ハウスは国内有数の大企業で本業はハウスメーカーだが、不動産事業も展開していて並みのデベロッパーよりも規模が大きい。ヒューリックはオフィスビルや商業施設の開発が本業の、伸び盛りのデベロッパーだ。
次ページでは、三者三様の戦略の実態を明らかにする。大和ハウス工業は顧客ターゲットのシフト、積水ハウスはリスクを負った地方開拓、ヒューリックはみずほ銀行ルートがキーになっている。