相続税が3倍違う!? 相続は「準備」が9割
人生100年時代、お金を増やすより、守る意識のほうが大切です。相続税は、1人につき1回しか発生しない税金ですが、その額は極めて大きく、無視できません。家族間のトラブルも年々増えており、相続争いの8割近くが遺産5000万円以下の「普通の家庭」で起きています。
本連載は、相続にまつわる法律や税金の基礎知識から、相続争いの裁判例や税務調査の勘所を学ぶものです。著者は、相続専門税理士の橘慶太氏。相続の相談実績は5000人を超えている。大増税改革と言われている「相続贈与一体化」に完全対応の『ぶっちゃけ相続【増補改訂版】 相続専門YouTuber税理士がお金のソン・トクをとことん教えます!』を出版する。遺言書、相続税、贈与税、不動産、税務調査、各種手続という観点から、相続のリアルをあますところなく伝えている。2024年から贈与税の新ルールが適用されるが、その際の注意点を聞いた。

相続税が3倍違う!? 相続は「準備」が9割Photo: Adobe Stock

知らないと絶対損する! お金の話

 本日は「終活と相続」についてお話をします。年末年始、相続について家族で話し合う際、ぜひ参考にしてください。

 前回の記事では、相続対策の最強の4ステップとして、「現状分析→遺産分割対策→評価の引き下げ対策→生前贈与対策」をご紹介しました。ここでは、なぜこの順番が重要なのか、具体的な事例を通じて説明します。

 例えば、遺産分割対策の前に生前贈与対策を行った場合の例です。ある家族には、お母さん、長男、長女の3人がいます。お母さんは土地1億円と預金1億円、合計2億円の財産を所有しており、長男はお母さんと別居、長女はお母さんと同居しています。この状況で、「不平等にならないように同じ金額を生前贈与する」と考え、遺産分割を決める前に生前贈与を行いました。

 結果として、お母さんは長男と長女にそれぞれ2500万円ずつ贈与しました。その後相続が発生し、1億円あった預金は5000万円に減少。お母さんの亡くなった時点での財産は土地1億円と預金5000万円、合計1億5000万円になりました。この場合、相続税がどのようになるか見ていきましょう。