悩む夫婦写真はイメージです Photo:PIXTA

国税庁が発表した「令和5年度租税滞納状況の概要」によると、相続税の新規滞納発生額は前年度より増加しており、多くの人が納税に悩まされていることが推測される。相続税を支払うべき方々には、被相続人が残した財産があるはずだ。にもかかわらず、なぜ相続税の滞納は発生するのだろうか。本記事では、来たるべき日に備えた本当に必要な相続税対策や、相続税の滞納によるペナルティなどについて、詳しく解説する。(税理士・岡野相続税理士法人 代表社員 岡野雄志)

相続税の滞納が増えている!
2023年度の滞納状況とは

 国税庁が発表している「令和5年度租税滞納状況の概要」には、租税の滞納状況や未然防止策、整理促進に向けた取組が掲載されている。まず、相続税に限らず租税全般の滞納状況を見てみると、2023年度(令和5年度)の新規発生滞納額は7997億円で、1992年のピーク時の4割程度に留まっている。しかし、前年の22年度よりも802億円増加している。(国税庁が指す滞納とは、納付期限までに納付されず督促状が発送されたものを指す)

 今回注目する相続税を見てみると、新規発生滞納額は464億円となっている。前年の22年度は367億円だったことから、こちらも97億円増加しており、前年度より滞納が増えている。21年度は325億円、20年度は236億円と公表されており、増加の一途をたどっている。

 本資料には新規に発生した滞納以外に、滞納残高も公表されている。相続税の滞納残高(前年度末時点の滞納および新規発生滞納額の合算)は、23年度は560億円、22年度は527億円とされており、未整理対応が継続している相続税も増加している。