年末年始は、久しぶりに親と顔を合わせ、今後の暮らしについて話をするいい機会だ。親が高齢の場合、同居を検討することがあるかもしれない。よくあるのが、父親の死後、子どもが母親との同居を開始するというケースだ。実はその際、住民票を親と同一にするかどうかが重要な選択であることをご存じだろうか。筆者の試算によれば、この選択は10年間で「100万円超の差」につながる。どういうことか、詳しく解説しよう。(ファイナンシャルプランナー〈CFP〉、生活設計塾クルー取締役 深田晶恵)
住民票に母を入れるかどうかが
「100万円超」の出費の差に!
父親の死後、ひとり暮らしをしていた母親が高齢になると、同居の検討を始める人も増えてくる。
同居をするなら、絶対知っておきたいことがある。それは「住民票を親と同一にするか、しないかでこの先の出費が大きく異なる」という事実だ。
分かりやすく「住民票」としたが、役所的に言い換えると「世帯」である。図は、現役で働いている自分が母親と同一世帯にした場合と、別世帯にした場合にした場合の「出ていくお金」の差額を試算したものだ。
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詳しい試算の結果は後述するが、世帯を同一にするか別にするかで、母親の社会保険料(介護保険料、後期高齢者医療保険料)、医療費負担、介護保険を利用した場合の利用料の合計額は大きく異なり、その差額は10年で100万円超にもなった。世帯を同一にした場合の出費が、100万円超も高くなってしまったのだ。
FPなので、ある程度の差額が出るのは予想していたが、実際に試算してみると大きな差額になり、私自身も驚いた。なぜ、100万円超もの差が発生するのか、仕組みを見ていこう。