とはいっても、これはすべて“もしもの話”です。

 過去に戻って検証もできないので、いってみれば、終わったことを後悔しないようにするための、“前向きな言い訳”なのかもしれません。

 もし、もっと早くに漫画家を目指していたら、今とは違う作品を描いていて、今ある作品は生まれなかったと思います。

 そう考えると、「人生は何事も経験だし、始めるタイミングに遅すぎることはない」といえます。

自分に都合良くとらえるほうが
人生はもっと生きやすくなる

 似たような話で、映画や漫画で、「もっと早く知りたかった」ってのもありますね。

 たしかに、もっと早く知っていたら、また違った感動を味わっていたり、その後の人生が変わっていたかもしれません。

 でも、その当時に知ったとしても、今と同じ感動を味わえるかはわかりません。

 映画も漫画も、その時の状況や精神状態で、感じ方が変わることがあります。

「昔はよくわからなかったけど、今観てみると面白い」ってことも、「昔はすごくハマったけど、今はまったく興味がない」とかもありませんか?

 今観て感動したから「もっと早く知りたかった」と思ったかもしれないけど、昔にそれを観ていたら、そこまで響かなかった場合もあるんです。

「“今の自分”が観たからこそ感動した」という感じでしょうか。

 これもいってみれば、過去を後悔しないための“前向きな言い訳”だけど、そうして前向きな考え方をすることが、生きていくうえで大切だと思っています。

 人生は、自分に都合良くとらえるほうが生きやすいです。

 つらい過去も、「あの時の経験があったから成長できた」みたいにとらえるように、過去は変えられないので、過去のとらえ方を変えて、自分に都合良く解釈するんです。

 正しいかどうかはどうでもよくて、そうとらえるほうが気持ちがラクになるんです。

 自分を守るために、正当化するってことですね。

 嫌なことがあった時は、事実を受け入れにくいけど、それだといつまでも引きずって前に進めません。

『一人反省会をして、いつも落ち込んでしまう人へ』書影『一人反省会をして、いつも落ち込んでしまう人へ』(コハラモトシ著、樺沢紫苑監修、日本実業出版社)

 その落ち込んで何もしなかった期間もまた、後悔することもあります。

 前に進むためにも気持ちの切り替えが必要で、それをスムーズにするために、「自分に都合良くとらえる」ってのが大事なんです。

 物事には、良い面も悪い面もあるように、考え方1つで良くも悪くも変わります。

 それならば、良いほうに考えたいですね。

「やりたい」と思って、一歩踏み出したことは素晴らしいです!

 後悔するより、行動した自分を褒めてあげてください!