自分は何も持っていない」「いつも他人を妬んでしまう」「毎日がつまらない」――誰しも一度は感じたことのある、やり場のない鬱屈した思い。そんな感情に寄り添ってくれるのが、クリープハイプ・尾崎世界観氏も推薦する『ぼくにはなにもない 愛蔵版』。この記事では、著者の齋藤真行氏に教えてもらった「ネガティブな気持ちを解消する方法」を紹介する。(構成/ダイヤモンド社・林拓馬)

心が疲れたときに「今日も頑張ろう」と思える「たったひと言」とは?『ぼくにはなにもない 愛蔵版』より

誰かの存在を優しく認めるひと言

日々の中で「世界を1ミリでも良くする」ための小さな行動を見つけることの大切さを考えてみます。

具体的な方法の例として、「褒める」という行動が大切だと考えています。

誰かから褒められる機会は年を重ねるほど乏しくなる傾向にありますが、どんな世代の人も褒められることに飢えています。

職場でも家庭でも、褒められるよりも「こうしなさい」「これではダメだ」といった指摘がどうしても増えがちです。

そのため、褒めることができる人は、周囲にとって非常に貴重な存在になります。

「褒める力」の素晴らしさを実感させられたのは、私の場合教会に通っている高齢者の存在からです。

彼ら・彼女らは小さなことでも、ごく正直かつ自然に褒めることができます。

「今日の服、素敵ね」「元気そうでなにより」「今日も天気で良かった」といった短い一言を、笑顔とともにさりげなく口にします。

特別な言葉というわけではありませんが、それを受け取った人は心が温かくなり、「今日も頑張ろう」という気持ちになります。

こうしたことは、誰でもできそうなことですが、実際やるとなると、なかなか難しいです。

しかし、その一言が相手の一日を明るくし、ひいてはその人の周りの世界も少しだけ良くしていると思います。

「1ミリ」というのは、「自分にもできることだが、それをしたからといって世界に大きな変化はない」ような小さな行動です。

「小さなことだからしても意味ない」と考えがちな、そういうものです。

ただ1ミリでも、毎日すれば1年で36.5cmになりますし、10年で3m65cmにもなります。

これを10人がするなら、10年で36.5mになり、これは目に見えるようなかなり大きな変化です。

教会に来ている高齢者のように誰かの存在を優しく認めることで、小さな変化を生み出し、世界を少しだけ良くすることができます。

そういう「1ミリ」を担う人が増えていくなら、世界は確実によくなります。

自分なりの「1ミリだけ世界を変える行動」を見つけることができれば、豊かな明日が拓けるに違いありません。

(本記事は『ぼくにはなにもない 愛蔵版』の著者、齋藤真行氏が特別に書き下ろしたものです)