「成長中の会社で口にすると、一発で評価を下げるグチがあります」
そう語るのは、転職エージェント「キープレイヤーズ」代表の高野秀敏さん。1.1万人以上のキャリア相談、4000社以上の採用支援の経験を持つヘッドハンターであり、「現場」と「経営者」の両方の視点で、「圧倒的に活躍する人たち」と関わってきました。
その高野さんがベンチャー流の「結果を出す働き方」をまとめた書籍『ベンチャーの作法』が刊行。発売たちまち重版し、“きれいごと”抜きの仕事論に、社員からは「もっと早く知りたかった!」、経営者からは「よくぞここまで書いてくれた!」と、SNSでも多数の感想が投稿されるなど異例の反響となっています。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、「成長中の会社のリアル」についてお伝えします。
「朝令暮改」ばかりの経営者
「先月始めた例のサービス、もうやめるんだってよ」
「この前はこっちのデザインでいいって言ったのに、今朝聞いたら変わった」
「うちの社長は、言うことがころころ変わるよね」
困ったもので、ベンチャーでは「経営者の指示」が突然変わったりします。
二転三転するのは当たり前、朝令暮改どころか朝令朝改さえあります。
明日、何が起きるかわからない世界
これは私の知人の話です。
その人は、とあるベンチャーキャピタルから出資を受けていたコンサル系企業から、コンサルタント兼プロダクト開発担当者としてオファーを受け、入社を決意しました。
しかしその翌週、代表から「大事な話があるから」と連絡をもらい、入社前ですが全社MTGに参加しました。
なんと、「合併する」とのことでした。
いろいろあるのがベンチャーだと思っていたためそのまま入社するも、マーケティング担当のメンバーが全員辞めることになり、急遽、経験のあったその人に白羽の矢が立ち、マーケティング責任者をやることになったそうです。
業務内容どころか、所属部署も肩書も組織も、当初の予定から変わりました。
明日、何が起きてもおかしくないのがベンチャーの世界なのです。
「朝令暮改」を受け入れよう
これまで進めていた商品名やデザインに完成直前で変更指示が入ったり、「次の稼ぎ頭にするぞ!」と意気込んで始めた事業をすぐにたたんだり、新しくつくった部署をすぐに解散させたり……。
現場の感覚からすると、「なんで?」と戸惑うような方針変更が日々発生します。
ですが成長途中の会社では、それが普通です。
そして組織というものは、経営者の指示が絶対です。
経営者の朝令暮改に腹を立ててグチを言っても、意味がありません。
「そういうもの」として受け入れて、この舵取りに食らいついていける人だけが評価され、大きな結果を手にできるのです。
(本稿は、書籍『ベンチャーの作法』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です)