ここに書いておることは偉そげに聞こえるかもしれませんが、おばあさんが自分の心に言い聞かせておる言葉たちでございます。口だけになっちゃいけませんなあ。「くたびれるなよ、しゃんとせえよ」。あの世で夫も、そう励ましてくれとる気がします。

哲代おばあちゃん流
ひとり時間の楽しみ方

 一人きりで過ごす時間は寂しい気持ちになりがち。でも「特別な楽しみを加えるんでございます」。哲代さんはそう言って、かけがえのないひとときに変えてしまいます。そんな哲代さん流のひとり時間の楽しみ方とは?

1.アルバムをめくる

 こう見えて私、昔はカメラが趣味でございまして。地域の子どもたちを撮った古い写真がようけあるんです。さっきも昔のアルバムを引っ張り出して見とったの。これはいつ撮ったんかな。昭和60(1985)年ですか。見てみてください。かわいいでしょう。

 このころは、子どもたちが学校帰りに「喉が渇いた」ってうちに寄るから、いつも井戸水を冷やしては庭先に置いとったの。おいしそうに飲む姿を撮っては焼き増しして配っておりました。それが私の楽しみでもあったん。

 自分用にアルバムに収めておいてよかったです。こうやってたまに眺めて楽しんでいます。それにしてもあのカメラ、どこへいったんじゃろうか。今は行方不明でございます。

2.ドリルを解く

 小学校の先生をしておりましたからな。子どもたちに繰り返し教えた読み書きやら計算やらは、体が覚えとるんでございます。

 いつぞやに姪が買ってきてくれた算数ドリルでも、新聞の折り込みの漢字の脳トレでも、何でもいいの。ちょっと時間があればやっとります。

 なんべんも力試ししたいから答えはノートに書くんです。まあ今のところ、だいたい100点でございますなあ。へへへ。このノートも、もう書くところがなくなりそうです。

同書より(写真:中国新聞社)同書より(写真:中国新聞社)