石井哲代さん(c)中国新聞社

尾道市で畑仕事に勤しみながら、一人で暮らしている103歳の石井哲代おばあちゃん。100歳を超えても元気な姿が中国新聞やメディアで紹介され、一躍話題になった哲代おばあちゃんが、様々なお悩み相談を解決!貯蓄術から子どもの進路、夫婦円満の秘訣まで、哲代おばあちゃんの優しく回答する。※本稿は、石井哲代・中国新聞社『103歳、名言だらけ。なーんちゃって 哲代おばあちゃんの長う生きてきたからわかること』(文藝春秋)の一部を抜粋・編集したものです。

103歳の知恵袋
哲代おばあちゃん流・貯蓄術とは?

お悩み1
会社の会議で発言するだけでもあがってしまうのですが、哲代さんは講演会やテレビ出演のとき、堂々としていて全く緊張していないように見えます。緊張しないで人前で話せる秘訣を教えてほしいです。(30代女性)。

 何をおっしゃいますか。わたくしも緊張しとるんでございます。

 子どものころから人前で話すのは得意じゃないけれど、おしゃべりな性分で「てっちゃん、お口チャック」って呆れられてました。

 それが最近になって、雑誌やテレビの取材ではしゃべるだけで褒められる。何だか、おかしなことになっとります。うーん、これです!っていう答えができませんですなあ。難しい。何かないかなあ。

 そうそう。私は緊張で震えるときは、足をドンって1回踏み鳴らすんです。

 演台の陰の見えんところで。あとはもう「やるしかない」と腹をくくるわけ。

 ちっぽけで虫けらのような度胸でございますが、据えるわけですよ。103歳でも、というより103歳ならばこそ緊張するんでございます。

 賢げなことを言えればいいんですが、100年も生きて、まだあれくらいのことしか話せんのかと思われます。口から出るんは、ほんましょうもないことばっかりです。ペラペラと思いついたことを出るに任せて「でまかせ」ばかりでございます。

 ただ、大したことを言おうとか、上手に言おうとかは思いませんねえ。考えてることを素直に伝えるのが一番じゃないでしょうか。技術はいりません。伝えたいという気持ちがあれば緊張してもええんです。と、103年生きてきて思うとります。

お悩み2
老後のためにお金を残しておきたいのですが、最近物価も高く、お金が全然たまりません。哲代さん流の貯蓄術があったら教えてください。(50代女性)。

 質素な暮らしをするしかございませんなあ。「持たない暮らし」っていうんですか。食べることも着ることも、遊びに行くことも我慢するしかない。でもなあ、そんな節約あるのみの人生なんて、生きた甲斐がナイチンゲールですねえ。

 わたくしの父がコツコツと貯金をする人でした。郵便局に勤めておったんじゃが、4人の子どもの通帳をそれぞれ作って、毎月1円ずつ預けてくれよっちゃった。当時の1円で酒が2升買えました。