えげつない「AKB商法」もひと段落
「ガチ恋」勢は大人の対応へ

 アーティストや俳優、アイドルのファンにも一部ガチ恋は発生していたはずだが、ファンの応援する気持ちを運営が集金するシステムは限定的だった。

 潮目が変わった気がするのはAKB商法が登場したあたりからで、人生を賭けて身の丈に合わない金遣いをもって応援するファンが確認され始めた(これはえげつない集金システムが整ったからかもしれないし、ちょうどその頃から隆盛したSNSによってそうしたファンの存在が明るみに出たからかもしれない)。

 この流れは一旦加熱したが、今はだいぶ収まったテンションで続けられている印象である。

 そして昨今では、利用客に売春を余儀なくさせる悪徳ホストクラブや、「頂き女子りりちゃん」の存在などが問題視されるようになった。これらの問題を通して認知されるのはカモになっている女性・男性であり、カモになりそうな本人が一歩踏み出す前に自分を客観視するチャンスが増えた。

※余談だが、カモになりそうな本人がすでにのっぴきならないハマり方をしている状況は依然としてあるものの、周囲がその人を止める説得材料として「頂き女子のりりちゃんの例もあるし~~」と説明しやすく、そして理解を得られやすくはなっている。

 こうした世相にあって、非ガチ恋のファンはいわずもがな、ガチ恋勢やガチ恋予備軍のファンが、たとえば檜山さんの結婚に対して痛みや切なさを飲み込んで祝福を送っている。これは「裏切られた」と発信することに比べて、良い悪いは別にして「大人な対応」であり、攻撃性がない分、関係が次につながっていきやすいという点で建設的である。

 また、集金システムを用意する運営側も、これまでのように「ガチ恋利用してファンらからたくさん搾り取るんじゃあー」という大味な集金の姿勢でなく、結婚に祝福を表明してくれるような穏やかな応援の受け皿となる集金の展開こそが、新たなビジネスチャンスともなることもあるはずである。

 いずれにせよ、コミュニケーションや気遣いがさらに洗練されてきているのが現代である。恋愛ビジネスのあり方も数年かそこらでは到底変わらないだろうが、その変化の兆しは、檜山さんのご結婚しかり、様々なところで確認できるように感じられる。