積水ハウスは7200億円買収で米住宅大手の一角に
日本生命は、35年度に国内保険事業で約1兆円、海外で約4000億円の基礎利益を上げる目標を掲げている。そのため今後も、海外での買収を始め投融資を積み増す方針だ。
米国は人口が増加し、さまざまな分野の需要が伸びている。足元では次期トランプ政権の政策リスクはあるものの、人口増加に加えて、AI関連など先端分野のイノベーションがあり、米国の経済成長率は相対的に高い。
日本企業が海外市場に出るためには、買収に伴う財務内容の悪化、経営風土の異なる組織の統合、法規制や政策への対応など多くのリスクを負担しなければならない。世界的に株価が高く、ドル高・円安の傾向が続く環境下で買収を行うと、後々、多額の減損を強いられる恐れもある。
そうした大きなリスクを負担してでも、米国市場での事業拡大を図る日本企業は増えている。積水ハウスもそうだ。今年1月、米住宅会社のM.D.C.ホールディングスを約49億ドル(当時の為替レートで約7200億円)で買収すると発表した。
生命保険と同様に、住宅市場も人口減少により縮小する。積水ハウスは今回の買収資金に関して、金融機関からの借り入れで賄ったようだ。国内の金融機関の資金需要先として、海外買収、あるいは不動産向けの融資などが主な案件になっている。
米国の住宅市場は、中長期的に成長する可能性は高い。積水ハウスは今回の買収によって、従来の西部、南部に加え、東部にも進出する。住宅の引き渡し数で全米第5位程度に浮上し、米住宅大手メーカーの一角に食い込む格好だ。