生保・損保・代理店の正念場#21Photo by Yoshihisa Wada

日本生命保険は昨年11月、介護業界最大手のニチイ学館を傘下に持つニチイホールディングスを約2100億円で買収すると発表した。特集『生保・損保・代理店の正念場』(全31回)の♯21では、生命保険事業とどのようなシナジーが発揮されるのか、日本生命の清水博社長に話を聞いた。(ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)

コロナ禍からは回復途上
営業職員組織の強化進める

──営業職員チャネルはコロナ禍前に戻っているのでしょうか。

 対面とオンラインを組み合わせた活動を進めてきましたが、保障性商品の販売量はまだ回復の途上です。また採用と育成の課題から、営業職員数は減少しています。

 今後は地域社会の課題解決に資する取り組みを切り口としたお客さまとの接点拡大、AI(人工知能)を活用したコンサルティング力の強化、給与の向上などのエンゲージメントを高める施策を実施し、長く安定的に働くことができる営業職員組織の構築を進めます。

 こうした取り組みを通じて、新契約価値を3年間で8%伸ばし、業界ナンバーワンの地位を盤石のものとしていくことが目標です。

――代理店チャネルはどのように取り組みますか。子会社のはなさく生命保険は順調に業績を拡大しているようです。

 機動的な商品供給を通じて、日本生命グループのプレゼンスを着実に拡大することができています。今後はグループ一体となって、機動的に商品を供給し、代理店の支援を一層進めて、代理店と金融機関の窓口販売も合わせたマーケットで、トップカンパニーになることを目指します。

コロナ禍からの立ち直りが道半ばの中、日本生命保険は2023年11月、介護大手のニチイホールディングス買収を発表した。さらに中期経営計画では2兆円の戦略投資枠を設けるなど、攻めの姿勢を鮮明にしている。今後、介護事業と生命保険事業のシナジーはどのような形で出てくるのか。