斎藤知事「予想外の勝利」はSNSの威力だけではない、根底にある“2つのキーワード”兵庫県知事選挙の街頭演説で支持を訴える斎藤元彦氏 Photo:SANKEI

背景にある日本社会独特の事情
「公務員たたき」への共感と「社会の世間化」

 米大統領選挙ではトランプ陣営のSNSを通じた「陰謀論」や「陰の政府論」の流布がトランプ前大統領への支持拡大につながったとされ、韓国で、議会の弾劾決議を受け職務停止になった尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の「非常戒厳」布告も、尹大統領がSNSでのユーチューバーの情報に大きな影響を受けたことが指摘されている。

 日本でも、11月17日に行われた兵庫県知事選挙で、職員へのパワハラ疑惑を巡って、県議会の全会一致の不信任決議を受け失職した斎藤元彦知事が、出直し選挙で大方の予想を裏切って圧勝し、再選されたことでも、SNSの影響が言われている。

 SNSでは真偽不明の不確かな情報があふれ、落選した候補のSNSアカウントが虚偽通報で凍結されるなど、異例ずくめの選挙だった。

 既存メディアが斎藤氏に厳しい目を向けていたなかで、SNSでのさまざまな情報拡散が、斎藤陣営の予想外の勝利という選挙結果に大きな影響を与えたことは間違いないだろう。 だが、あくまでもSNSは、私たちが情報を得る手段の一つにすぎない。その影響だけでは、圧勝の説明として十分ではない。

「世間学」の視点から、斎藤氏の圧勝の根底にあるものを考えると、「公務員たたき」と「社会の世間化」という二つのキーワードが浮かび上がる。