子育て支援に水を差す?
贈与制度は今後どうなるのか
結婚や子育てをサポートするために政府の肝いりで始まった本制度だが、使いにくく普及しないまま廃止に至ってしまう可能性は今後もあるだろう。しかし、子育て世代へ非課税で資金を渡せる本制度がなくなってしまったら子育て支援に水を差してしまうという声もある。
本制度以外にも、暦年贈与や相続時精算課税制度といった贈与制度があるが、本年にいずれも改正が行われた。今後も贈与や相続に関しては制度が変動する可能性が高く、特に利用者が多い暦年贈与はいずれ廃止されることも否定できない。
相続税や贈与税は毎年のように改正が行われており、今後、次世代への財産移転が思うようには進まなくなるおそれがある。そこで、贈与を進めることを検討しているなら、まずは「早急に贈与を開始すること」が最も有効な対策だ。特に暦年贈与は始めやすい贈与方法であるため、子や孫に安全に資金を渡せる。
また、教育資金のためにお金を使ってほしい父母・祖父母世代なら「教育資金の一括贈与制度」も検討してほしい。こちらの制度は30歳未満の子や孫に対して、父母や祖父母が累計1500万円まで教育資金を贈与できる制度である。金融機関で専用口座を開設する必要があるが、大学進学などを支えることができ、相続税対策としての効果もある。ただし、30歳を超えて残っている資金は贈与税の対象となるため注意は必要だ。
子育て支援策は今後どうなる?
政府の方針とは
厚生労働省が発表した2023年における出生率は1.20という結果であった。この数字は1人の女性が出産する子の数を表したもので、統計を始めて以来最も低いものである。8年連続で低下を続けており、日本の少子化は歯止めがかかっていない。物価上昇も社会問題となっており、子どもを持つことに不安を感じている方は多いだろう。
では、贈与制度以外の子育て支援策は今どうなっているのだろうか。政府は2024年10月から児童手当の拡充をスタートさせた。所得制限が撤廃され、支給期間も高校まで延長となる。また、第3子以降の支給額は3万円アップされることとなった。所得に不安があり、子どもを持つことを躊躇う方々には朗報だ。
加えて、2020年4月から始まっていた高等教育の修学支援新制度は、さらに使いやすく改善されて2025年に再スタートする。
この制度は専門学校や大学等への進学を希望する人が、家庭の所得金額に応じた授業料等の減額が受けられるものだ。給付型の奨学金制度も充実しており、希望すれば誰もが高等教育を受けられる試みである。2025年からは、3人以上の子どもがいる世帯(多子世帯)は所得制限を受けることなく制度を利用できるようになる。
子育て支援には国が用意しているものだけではなく、自治体が用意しているものもある。例に挙げると、東京都世田谷区では出産応援ギフトとして、出産1人につき5万円相当のギフトカード、10万円相当の子育て応援ギフトが支給されている。杉並区では一時保育や子育て相談などの支援サービスがチケット制で配布されている。お住まいの地域の支援策は漏れなく確認してほしい。