年収の壁の議論も本格化
子育て世代にメリットはあるか
衆議院選挙が終わり「年収103万円の壁」の議論も本格化している。国民民主党が補正予算案に賛成の意向を示したことで、可決の見通しとなった。子育て中は、配偶者のいずれかがパートで家計を支えている家庭が多く、所得税の課税を避けるために103万以下の年間収入に収まるように働いているケースが散見された。
しかし、実際は103万を多少超えても所得税の課税はわずかである。子育て世代が就労時間を調整せずにもっと自由に働けるようになるが、その一方で130万円の壁には注意が必要だ。130万円を超える年間収入があると、社会保険料へ加入する必要があり、実質手取りは減少するおそれがある。ただし、社会保険への加入は将来の保障を増やすメリットとも捉えられる。今後130万円の壁も議論となる可能性は高く、注視が必要だ。
注意すべき今後の経済動向
住宅ローンや奨学金は特に注意
子育て支援策は政府、自治体が手厚くサポートをしているものの、現在住宅ローンや奨学金の金利が上昇していることも注意していきたい。子育て世代の父母は自身の奨学金返済が続いているケースも多く、金利の変動がジワリと家計を圧迫してくる場合がある。特に住宅ローンが変動金利の場合、金利上昇時に思わぬ返済額となり急激に家計が悪化するおそれがある。
このタイミングでまずは、返済計画を再度チェックしておくことがおすすめだ。固定金利への切り替えや、ボーナスを使った繰り上げ返済なども有効な対策方法である。今からマイホームを、という方は「住宅取得等資金の贈与制度」も忘れずチェックしてほしい。本制度は父母や祖父母から住宅購入資金が最大1000万円まで非課税となる。建てるマイホームの形態によって非課税限度額が異なるため、気軽に税理士へ相談してほしい。
今後も贈与や相続、子育て支援政策は常に変動していくことが予想される。
あわせて、ローン地獄に陥らないように家計や返済計画のチェックは怠らないようにすることが大切だ。