幕開けから鮮烈な「トランプ劇場」
想定外の閣僚人事を連発
米大統領選挙で快勝した共和党のドナルド・トランプ前大統領は、来年1月10日の大統領就任を待たずに、矢継ぎ早の人事の発表で独自色を鮮明にしている。
11月7日に選挙対策本部長だったスーザン・ワイルズ氏を首席補佐官に選んだことを皮切りに、国防長官や司法長官の閣僚人事ではトランプ氏への忠誠心や政策的な親和性の高さが重視された陣容が明らかになってきた。議会選挙では上下両院で共和党が多数派を獲得しており、とくに人事の承認などを担う上院で共和党が53議席まで伸ばしたことが、第2次トランプ政権の破壊力を強めそうだ。
異例の閣僚人事にとどまらず、今後、バイデン政権の環境政策の目玉だったインフレ抑制法の撤廃・縮小やトランプ減税の延長、最高裁判所の保守派判事若返りなど、「トランプ色」が「上院53議席」の下で相次いで打ち出されそうな気配だ。
国防長官にFOXニュース司会者
疑惑抱えたゲーツ氏は司法長官の指名辞退
トランプ劇場の幕開けは鮮烈だ。国防長官にFOXニュースで司会者を務めるピート・ヘグセス氏の起用が発表されたり、国家情報長官に元民主党下院議員でロシアやシリアなどに好意的な発言を行ってきたトゥルシー・ギャバード氏が選ばれたりするなど、周囲が予想もしなかった人事が次々と発表されてきた。
とくに衝撃的だったのは、司法長官にマット・ゲーツ下院議員(起用発表を受け議員を辞任)を、そして厚生長官にロバート・ケネディ・ジュニア氏を選んだことだ。