トランプ新政権「3つの不透明」、政策後回しの勝利で物価高は続き公務員制度は大混乱!?Photo:Andrew Harnik/gettyimages

共和党は上下院も過半数獲得
選挙人獲得数は312人にとどまる

 米大統領選挙は、トランプ氏の勝利で幕を閉じた。勝敗が確定するまで4日が必要だった前回2020年の選挙と異なり、投票日翌朝までに大勢が判明、トランプ氏は当確を待たずに勝利宣言を行った。共和党は米議会選挙でも上院と下院の両方で過半数を獲得した。

 選挙結果は共和党の圧勝という表現が見受けられるが、筆者はやや違う印象を持つ。20世紀に入っての大統領選では、ルーズベルト、ジョンソン、レーガン、ブッシュ(41代)らの大統領は全部で538の選挙人票のうち400を超える票を獲得して当選している。トランプ氏は11月9日に最後に残っていた西部アリゾナ州でも勝利を確定させ、激戦州もすべて取ったが、その票数は312に過ぎない。

 大接戦という前評判に対しては“圧勝”とも言える。ただし、2000年代以降は当選者の票数が300内外という水準が定着しているとはいえ、オバマ政権誕生時の08年には365票が集まっている。今回はそれにも見劣りする。

 こうした選挙結果になったのは、あえて政策を曖昧にしたハリス陣営の選挙戦略の失敗が一因だろう。一方で、トランプ氏も「米国を再び偉大に(MAGA)」とは言うものの、どのように実現するのかという政策の詳細は後回しの選挙だった。

 第2期政権は、景気拡張期だった第1期政権時と経済環境は違い、またトランプ氏が狙う公務員制度改革などが行われれば、ますます政策の具体化に不透明感や不確実性が強まる。