規制当局はめったに誤りを認めない。だが、米連邦準備制度理事会(FRB)は銀行のストレステスト(健全性審査)についてパブリックコメントを受け付けると23日に発表したことで、実質的に誤りを認めた。これは保守派の司法プロジェクトにとって新たな勝利だと考えるべきだ。
FRBは報道発表文で、「進化する法的環境を考慮し、FRBは銀行のストレステストの透明性向上と、テスト結果に基づく資本バッファー要件の変動抑制に向けた重大な変更に関して、パブリックコメントを近く求める」と述べた。その上で、「行政法の枠組みが近年大きく変化した」と指摘した。確かに変化しており、銀行による訴訟は歓迎すべき事例だ。
米最高裁が出した「ウェストバージニア州対環境保護庁(EPA)裁判」(2022年)、「ローパー・ブライト裁判」(24年)の判例のおかげで、一般的に曖昧だと言われている法律、特に重要な問題に関する法律について、裁判所はもう規制当局の解釈に従う必要はなくなった。規制当局の権限で規則を作っても、判事がそれを却下する。
FRBが行っている自己資本比率に関するストレステストがこのケースに当てはまる。それは米銀行業界が24日に起こした訴訟で主張している通りだ。銀行業界は、FRBがこのテストのモデルに関する通知とパブリックコメントを避けている点が行政手続き法(APA)に違反していると訴えている。われわれの情報源によると、FRBはテストのプロセス変更に同意することで訴訟を回避しようとしたという。
銀行業界はFRBの発表を好意的に受け止めたが、訴状では、「現行のストレステストのプロセスを補強する政府の措置の一部に対する裁判所への異議申し立ての期限は2025年2月」だとされている。業界はまた、「先日発表された改革案が、現行制度下で生じている弊害にタイムリーな是正措置を提供する」との確信は持てないという。
FRBのストレステストは2010年に制定されたドッド・フランク法に基づいて始まった。同法は、大手銀行のバランスシートを年1回評価し、「経済状況の悪化による損失を吸収」する能力の有無を確認することを規制当局に義務付けている。だがこのテストは実際には、欠陥のあるFRBのモデルに基づいて恣意(しい)的に銀行を罰し、経済全体にコストを発生させている。