聴衆を理解するために
大事な6つのポイント

 それでは聴衆を理解するために押さえておくべきポイントは何でしょうか?

 大事なプレゼンや商談等の際は、これから解説する6つの点について、考えを巡らせる、仮説を立てる、あるいは可能な範囲でリサーチをしておくと良いでしょう。

(1)目標、モチベーション、バイアス
聞き手はどのようなモチベーションを持っているか?この場では具体的に何を達成したいと考えているか?このテーマに関連して何らかの目標を持っているだろうか?これから話すテーマについて固定観念やバイアスはあるだろうか?

(2)文化的背景
聞き手の職業は何か?教育水準はどうか?どんなことに興味・関心がありそうか?(特にグローバルの場においては)文化的・宗教的な背景に特別な考慮事項はあるか?

(3)知識レベル
テーマに対して聞き手はどれほどの背景知識を持っているか?経験値はどうか?基本的な情報から伝えた方が良いか?知っている前提で専門的な議論に時間を使う方が喜ばれそうか?

(4)価値観
相手が大切にしているバリューは何か?たとえば、事実や合理性が好まれるか?それとも関係性やパッションを重視するタイプだろうか?前例を重んじるか、誰も経験していないことに興味を持つか。正しさを好むか、遊びを求めるタイプか。ギバーか、あるいはテイカーか。

(5)コミュニケーションスタイルの好み
プロフェッショナルで節度あるスタイルを好むか?距離感の近い砕けたスタイルを選好するか?対話形式の方が引き込めそうか?一方的な情報提供の場としたほうが参加してもらえそうか?

(6)心身のコンディション
聞き手はどんな感情で参加するだろうか?特定の時間帯や活動の後で疲れているだろうか?ポジティブに楽しみたいという姿勢だろうか?強制的に参加させられている等、後ろ向きな姿勢だろうか?

 以上の点についてあらかじめ想定した上で場に臨むことで、自身のコミュニケーションに明確な意図を込め、メッセージの精度を高めることができるようになります。また事前に想定を持つことによって、実際のコミュニケーションが進むなかでも相手の反応を踏まえながら、リアルタイムで細部の調整を行うことができるようになるのです。