石破政権の命取りに
なりそうな特捜案件

 これら以上に石破政権を直撃しそうなのが 東京都議会の自民党会派「都議会自民党」、そして、「自民党東京都連」による裏金疑惑だ。

「都議会自民党」で言えば、2019年と2022年に開かれたパーティーでの収入のうち、20人ほどの都議が、ノルマを超えて売り上げた分を政治資金収支報告書に記載していなかった問題が浮上し、「自民党東京都連」でも、2022年から2023年にかけて開催されたパーティー収入の一部が不記載だったことが明らかになっている。

 そのカラクリは、自民党の国会議員による裏金づくりとほぼ同じで、ノルマ以上の売り上げがあった場合、その分を「中抜き」するという手口だ。

 すでに、先月から東京地検特捜部が聴取に乗り出しており、意図的に不記載とした金額が、政治資金規正法違反(虚偽記載)で立件する目安とされる3000万円を超えるようだと、今夏に東京都議会議員選挙と参議院選挙を控えた野党は一斉に攻勢を強め、石破首相自身が違反したわけではなくても、国民はソッポを向くだろう。

「玉石政権」で
何も進められない石破首相

 こうした中、石破首相は、1月1日、筆者の古巣、文化放送でオンエアされた「後藤謙次Point of Viewスペシャル 石破総理に聞く~2025年・この国の行方」で、野党第1党の立憲民主党を含む大連立について、「選択肢はある」との考えを示した。

 それだけではない。石破首相は12月28日、大阪・読売テレビで「衆参同日選挙」の可能性について、「参議院選挙と衆議院選挙を同時にやってはいけないという決まりはない」と述べ、1月24日に召集される通常国会で、来年度予算案が否決されたり、内閣不信任決議案が可決されたりした場合、「衆参同日選挙」を行うこともあり得るとの認識を示した。

 これらは、石破首相自ら、1月6日の年頭会見で釈明せざるを得ないほど「踏み込んだ発言」と言える。ただ、自民党内からは次のような声が聞こえてくる。

「大連立も衆参同日選挙も可能性としては低いですよ。石破さんの発言は、あくまで、政権運営の主導権を握っているのは自分、と強調するためのものでしょ? 最近、この手の発言が多いけど、実際には、『玉石政権』なんだから」(自民党旧安倍派衆議院議員)

「玉石政権」とは、国民民主党の玉木雄一郎代表(役職停止中)の顔色をうかがわなければ何も前に進められない状況を指す。