「組織に不要とされるベテランの共通点があります」
そう語るのは、転職エージェント「キープレイヤーズ」代表の高野秀敏さん。1.1万人以上のキャリア相談、4000社以上の採用支援の経験を持つヘッドハンターであり、「現場」と「経営者」の両方の視点で、「圧倒的に活躍する人たち」と関わってきました。
その高野さんがベンチャー流の「結果を出す働き方」をまとめた書籍『ベンチャーの作法』が刊行。発売たちまち重版し、“きれいごと”抜きの仕事論に、社員からは「ベンチャーにかぎらず全ての組織で役立つ!」、経営者からは「よくぞここまで書いてくれた!」と、SNSでも多数の感想が投稿されるなど異例の反響となっています。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、「ベテランがしがちな勘違い」についてお伝えします。
「指導役になろう」という勘違い
「これまでの経験やスキルを活かして、良き指導役になろう」
ある程度の経験を積んだ人がベンチャーに入社する際に考えがちなことです。
最近は40、50代でベンチャーに挑戦する人も少なくありません。
私の知人が勤めているベンチャーが採用募集を出したところ、50代の人からばかり応募が来たと言っていました。
出世ルートを外れて「第二の人生」を目指す人や、一度はフリーランスになったものの続けるのが厳しくなって再度の就職を目指した人など。理由はさまざまですが、そういった動機でベンチャーに入社した人の多くが考えることがあります。
過去の経験を活かして「指導役になろう」ということです。
ですが、ベンチャーは「指導役」なんて求めていません。
あなたは「コスト」に見合っているか?
22歳と38歳のプロ野球選手がいたとします。
どちらも打率は2割6分で、守備がうまいショートの選手。
球団が求めるのは、この2人の選手のどちらでしょう。
経験が多いベテラン選手でしょうか?
いえ、正解は22歳の選手です。
ベテラン選手の年俸は1億円以上だったりしますが、若手は3000万円程度です。
それに若手選手のほうが、今後の伸び代にも期待できます。
プロ野球だけではなくビジネスの世界でも同じです。
実力が同じなら、人件費が安くて伸び代がある若手社員に期待をかけます。
いくつになっても「結果を出せる人」であれ
社会人経験が長いからといって、あぐらをかいてはいけません。
そもそもベンチャーにおいて「ベテラン」への期待値は低いものです。
「自分の経験やスキルには高い給料を払ってもらえるだけの価値がある」
そうではありません。
経営者の心中は、こうです。
「高い給料で採用したのだから、絶対に結果を出せよ」
むしろマイナスからのスタートだと思うべきでしょう。
たとえベテラン社員でも、経営者が求めていることはただひとつ。
「結果」を出すことです。
指導してほしいのではなく、結果を出して若手の良き模範になってほしいのです。
(本稿は、書籍『ベンチャーの作法』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です)