20万部を突破し、「読者が選ぶビジネス書グランプリ2023」で総合グランプリに輝いた『佐久間宣行のずるい仕事術』。その刊行から2年、著者でテレビプロデューサーの佐久間宣行さんが新刊『その悩み、佐久間さんに聞いてみよう』を上梓しました。上司の悩みの裏には部下の悩みが潜んでいます(逆もしかり)。しかし、「上司は部下の」「部下は上司の」気持ちはわからないものです。そこで本書は上司と部下、それぞれの気持ちを解説しつつアドバイスをする1冊となっています。
今回は、本書の刊行記念イベントのお悩み相談コーナーの模様を、ダイジェストでお届けします。職場の人間関係やメンタルのコツ、転職に役立つノウハウなどにまつわる佐久間さんのアドバイスを、ぜひ参考にしてみてください。(構成/ダイヤモンド社コンテンツビジネス部)

【効果絶大】精神的に疲れやすい人でも、メンタルが「最強」になる“すごい方法”Photo:Adobe Stock

Q. 「負の感情」との付き合い方が知りたいです

質問者:20代女性
――好きなことを仕事にできなくとも、せめて自分が傷ついたり、イライラしたりしない環境で働きたいと常々思っています。「負の感情」に支配されずに、健全なメンタルで働くコツは何かありますか?

佐久間さんの回答①
 まずお伝えしたいのは、20代なら傷つかない人はいないということ。なぜなら、どんな仕事をやるにしても、慣れないこと・新しいことばかりを経験するからです。負荷が比較的緩い仕事でも、傷つくことが普通にあると思います。

 なので、いまのうちは、「気持ちが揺らいだり、イライラしたりして当然なんだ」と考えておいた方がいいかもしれません。

 ここで大事になるのが、ちょっと俯瞰的に「自分を観察する自分」を身につけておくことです。どういうことかというと、心が傷ついたときに、「うわ、いま私って傷ついてるわ」というメタな視点で自分を見る「もう1つの自分」を持つということ。

 で、その2つの自分を心の中で対話させるんです。「いま私って傷ついてるよね?」「そうそう。傷ついてるから、きょうは仕事休んだ方がいいんじゃない?」みたいな感じで。そうすると、自分の感情を客観的に見られるようになって、自分が傷つくときの「パターン」が何となくわかってきます。

 こんなふうに、一歩引いた視点で自分を見つめる「もう1つの自分」との対話を通じて、20代のうちに自分の心の傾向を把握しておけば、30代になってからすごく精神的にタフになると思います。

 仕事上の本当の勝負は30代になってから訪れるので、これはすごく重要なことです。

自分の「揺るぎない軸」を築いていく

佐久間さんの回答②
 僕はテレビ東京に入社したばかりの頃、「自分はADの仕事に向いてないんじゃないか」と思っていました。でも、気持ちを切り替えて、「最初の3年は実験なんだ。3年経って、それでも向いてなかったら、そのときに方向転換すればいい。だから、いまうまくいかないことは失敗じゃなくて、将来のための調整なんだ」と捉えるようにしたんです。

 それと同時に、20代のときは「『これは自分の長所だ』と胸を張って言えることは何だろう」ということをじっくり考えました。その結果、僕は人を傷つけたり、他人を怒鳴ったりしないので、「自分が何かのトラブルに巻き込まれても、必ず誰かが助けてくれるだろう」という認識に至りました。

 こんな感じで、自分の長所を把握していくと、自分の中で少しずつ「揺るぎない軸」ができてくるんですよね。これは、30代になってから仕事で生かせる強みになります。

 なので、20代のうちはとにかく場数を踏みながら、自分のストロングポイントやメンタル面の特徴を理解していくことが大事だと思います。

(本稿は、新刊『その悩み、佐久間さんに聞いてみよう』刊行記念イベントのダイジェスト記事です)