歴史が教えるように、金融商品の複雑化は常に少しずつ進行している。最近ではその傾向が、投資しやすい上場投資信託(ETF)にも及んでいる。昨年、米国のETFは資金流入総額が1兆ドル(約158兆円)を超え、過去最高を記録した。ETFは安価で流動性が高く、通常の投資信託よりも税効率が格段に優れている。株式や債券を保有したい場合、業界大手のブラックロック、バンガード、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズの主力インデックス連動型ETFを購入さえすれば、非常に低い手数料で目的は果たされる。これらの業界大手と真っ向から競争するのは難しく、あまり報われない。そこでウォール街は新たな金脈を見いだした。それは、最も洗練された商品でさえもETFの形で提供することだ。モーニングスター・ダイレクトのデータ分析によると、2024年に米国で設定されたETFの約30%は、その名称に複雑な戦略を冠していた。それ以前の9年間平均の2倍だ。ETFの名称はますます創造的になり、その内部で起きていることは一段と不透明になっている。