相続は誰にでも起こりうること。でも、いざ身内が亡くなると、なにから手をつけていいかわからず、慌ててしまいます。さらに、相続をきっかけに、仲が良かったはずの肉親と争いに発展してしまうことも……。そんなことにならにならないように、『相続のめんどくさいが全部なくなる本』(ダイヤモンド社)の著者で相続の相談実績4000件超の税理士が、身近な人が亡くなった後に訪れる相続のあらゆるゴチャゴチャの解決法を、手取り足取りわかりやすく解説します。
本書は、著者(相続専門税理士)、ライター(相続税担当の元国税専門官)、編集者(相続のド素人)の3者による対話形式なので、スラスラ読めて、どんどん分かる! 親は子に迷惑をかけたくなければ読んでみてください。【子どもは親が元気なうちに読んでみてください。本書で紹介する5つのポイントを押さえておけば、相続は10割解決します。
※本稿は、『相続のめんどくさいが全部なくなる本』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。

【相続専門税理士が教える】親と相続を話し合う“自然なきっかけ”をつくる「劇的ワンフレーズ」Photo: Adobe Stock

もう80代を超えているなら急げ!
相続話を始めるべき今すぐの理由

【相続専門税理士が教える】親と相続を話し合う“自然なきっかけ”をつくる「劇的ワンフレーズ」『相続専門税理士が教える 相続のめんどくさいが全部なくなる本』(ダイヤモンド社)より イラスト:カツヤマケイコ

国税(相続税担当の元国税専門官)相続のことを家族で話し合うのは、いつ頃がいいのでしょうか?

前田(相続専門税理士)子どもが45歳になったら。遅くとも親が後期高齢者になる75歳を越えたくらいのタイミングがいいでしょう。厚生労働省によると日本人の平均寿命は男性約81歳、女性約87歳なので、とくに男性の相続は早めに備えておいたほうがいいですね。認知症のリスクを考えると、もう少し早くてもいいかもしれません。

その頃になれば、財産も固定化していますし、実家の処分や介護などの問題も発生してくるので、家族で話し合いをする必要が出てきます。

無知(相続のド素人)うちはもう両親が80代半ばなので、急いで話し合いをしなくちゃいけませんね……。

「早いほうがいい」は本当?
相続準備でよくある勘違いと成功の秘訣

国税 相続税対策などのことを考えると、もっと早くから備えておいたほうがよくないですか?

前田 早すぎるのもまた問題なのです。たとえば60歳で相続のことを考えようとしても、あと数十年生きる可能性が高いので、現実的な話がしにくいですよね。亡くなるまでに生活費がまだまだかかりますし、財産構成や家族のライフスタイルも変化していくでしょうから。

国税 なるほど。前田先生は、相続の話を親から切り出したほうがいいと言われましたが、いつまで待っても親が相続のことを話してくれないこともありますよね。そんなときは、いったいどうしたらいいでしょうか?

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親と自然に話し始めるたった1つのコツ

無知 うちの両親は、まさにそんな状態ですよ。

前田 そのような場合は、相続についてストレートに話すのではなく、「相続税ってうちはかかるのかな?」といったことを話題に出すところからはじめてみるといいでしょう。はたして自分は相続税がかかるのだろうかと興味を抱いている親世代は多く、私のところにも高齢の方がよく相談にいらっしゃいます。

相続税の話をすると、必然的に財産の分け方などの話をすることになるので、自然な話し合いができます。実際には相続税がかからない人が大半なのですが、あえて相続税を話のきっかけに使うといいです。この本をご両親に見せてもいいと思いますよ。

無知 今度、僕が実家に帰ったときは、さりげなく「この前こんな本を編集したんだけど」と言ってこの本を親に見せます(笑)

相続の話はいつ切り出すべきか? …遅くとも親が75歳を越えたくらいのタイミングで

POINT 「相続税ってうちはかかるのかな?」と相続の話を切り出す

※本稿は、『相続のめんどくさいが全部なくなる本』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。