環境課題の解決目指す「インパクト投資」はパブリック市場でこそ行うべき理由写真はイメージです Photo:PIXTA
*本記事はきんざいOnlineからの転載です。

インパクト投資の「意図」と「貢献」

 本連載ではこれまで、気候変動問題の現状や気候指標について解説してきた。今回からクライメート・インパクト投資(CI投資)を取り上げる。本稿ではCI投資の概要と、パブリック市場(公募社債や上場株式)を投資対象とするインパクト投資について考察する。

 インパクト投資は、測定が可能で、第三者にとって検証可能なインパクトを生み出す「意図」を持つ必要がある。また、その投資がなければ発生しなかったであろう社会的または環境的成果に、「追加的に貢献」するものでなければならない。CI投資の場合、意図はネットゼロ目標や脱炭素化となる。追加的な貢献とは、プロジェクトに資金を提供すること、有用なノウハウを提供すること、CI投資のための市場拡大などが考えられる。

 インパクト投資は、リターンを犠牲にすることを意味しない。また、前回までに述べたように、CI投資は単に低排出セクターへの投資ではない。それだけでは、気候変動問題の解決にはならないからだ。

 気候変動問題の解決に資する取り組みとしては、気温上昇を1.5℃に抑えるための道筋(パスウェイ)で必要とされる排出削減に貢献する経済活動があり、セクターごとに独自のパスウェイがある。2015年に世界自然保護基金(WWF)等が設立した共同イニシアチブであるSBTi(Science Based Targets initiative)等が、こうしたパスウェイを設定している。このパスウェイに適合すると認められた、現時点で高排出の企業は、将来的に大幅な脱炭素化を実現し、より広範囲に影響を与える可能性が期待される。