クリスティーナ・バスティン
インパクト投資における「貢献」とは、その投資がなければ起こらなかったであろうポジティブな効果を指す。今回は、インパクト投資のもう一つの柱である「貢献」と、財務リターンの確保について述べる。

クライメート・インパクト(CI)投資の目標は、財務リターンを犠牲にすることなく、実体経済の脱炭素化へのインパクトを達成することである。インパクト投資における二つの柱のうちの一つである「意図」について、クライメート・アロケーション・コンパス(CAC)の公募社債への適用方法を交えながら説明したい。

実体経済の脱炭素化のために投資が必要な地域やセクターと、実際の投資資金が向かっている先とのギャップに注意する必要がある。今回は、こうしたギャップを科学的に測定するための「クライメート・アロケーション・コンパス」の中で最も重要な測定方法である統合評価モデルを用いたギャップ把握手法を中心に紹介する。

今回もクライメート・インパクト(CI)投資を取り上げる。投資家が投資対象資産ごとに企業に与えるCIの強さ、およびCIを高めるための条件、その際の留意点について考察する。

今回はクライメート・インパクト投資(CI投資)を取り上げる。本稿ではCI投資の概要と、パブリック市場(公募社債や上場株式)を投資対象とするインパクト投資について考察する。

将来志向の気候指標の重要性(前回)に続き、今回は、事例を用いながらより具体的に当該指標について説明するとともに、こうした実体経済の脱炭素化に資する指標が標準化される上での課題について述べたい。

現在、金融の世界で代表的に使用されている気候指標には、炭素強度(Carbon Intensity=カーボンインテンシティー)やWACI(Weighted Average Carbon Intensity=加重平均カーボンインテンシティー)がある。これらの指標の利点は、すでに標準化されており、気候指標の主流となっている。しかし、これらの指標は、二つの理由で脱炭素化の進展の障壁となっている。

カーニー氏のスピーチ「ホライゾンの悲劇を打ち破る─気候変動と金融の安定」から約10年。カーニー氏が気候変動問題に関して金融セクターに初めて警鐘を鳴らしてから、私たちはこの問題に関してどれだけ進歩しただろうか。

カーボンニュートラルを達成するためには、50年までに年間7兆3,000億ドル、合計約200兆ドルもの投資資金が必要だと試算されている。真の脱炭素化の実現には、どの産業に資金を振り向けるのが有効だろうか。本連載では気候変動問題が難解と考える方の存在も念頭に、気候変動問題とCI投資について考えたい。
