「お願いだから出社しないで!」インフル感染疑いでも出勤する“発熱社員”に困惑…会社は帰宅を命令できる?画像はイメージ(Ushico / PIXTA)

インフル感染疑いのある従業員が、発熱や節々の痛みなどの自覚症状があるにもかかわらず、無理に出社してきて困っている——。このような場合、強制的に休ませたり、帰宅するように命令することはできるでしょうか。

*本記事は弁護士ドットコムニュースからの転載です。

「従業員が、インフルエンザに感染しているようです。家族がインフルエンザにかかっており、本人にも発熱や節々の痛みなどの自覚症状があるそうです。しかし、こちらが説得しても病院には行かず、無理に出社してきて困っています」

 こんな悩みが弁護士ドットコムに寄せられました。

 相談者によると、近々会社にとって重要な業務があるため、ほかの社員に感染が広がると大変困るとのこと。このような場合に、強制的に休ませたり、帰宅するように命令することはできるでしょうか。

休業・帰宅するように命じることができるか

――今回の相談事例はどのように考えられるのか?

 法的には、使用者から労働者に対する業務命令として、休業や帰宅を命じることができるか、という問題です。

 一般に、業務命令は、就業規則や労働協約等の合理的な規定に基づく相当なものであるかぎり、労働者はその命令に従う義務を負います。

 就業規則や労働協約では、労働者の安全に配慮するためにとるべき措置が明文化されていることが多いと思われます。特に新型コロナウイルスの蔓延以降は、就業規則等で感染症予防のための具体的な規定が置かれている会社も多いでしょう。