「自分は話すのが苦手だ」と感じている人は多いでしょう。でも、その原因は話し方ではないかもしれません。『言語化だけじゃ伝わんない』では、「知らないことは話せない」という当たり前の事実に注目しています。本記事では、話し上手になるためにビジネスパーソンにも役立つノウハウを紹介する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

話が苦手な人が知らないこと
「もっと話せるようになりたい」
そう思う人は少なくありません。
会議で発言できない。雑談が続かない。
質問されても「うーん」と考え込んでしまう。
すると、「話し方を勉強しよう」「言語化力を鍛えよう」と考えがちです。
しかし、『言語化だけじゃ伝わんない』という本では、その前に見落としがちなことがあると語られています。
知らないことは、誰でも話せない
本書では、こんなエピソードが紹介されています。
入社したての頃、毎日のように中東でテロが起きていました。
私はそこではじめて、イスラム教にはシーア派とスンニ派という宗派があることを知りました。
でも、その2つの宗派がどのようにちがうかはわかりませんでした。
そこで同僚との雑談中に、「イスラム教のシーア派とスンニ派ってどうちがうんだろう?」と聞いてみました。
ところが、同僚もそのちがいを知りません。
同僚は「どうなんだろうね?」と言って首をひねる。
私は「わかんないよね」とうなずいて、話を終わらせました。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より
この場面では、誰も口下手ではありません。
単純に、誰も答えを知らなかっただけです。
知らないことについては、どれだけ話し上手な人でも会話は広がりません。
話し上手は「知っていること」が多い
本書では続いてこう語られています。
知らないことは話せないからです。
私たちは、知っていることをもとにコミュニケーションをしています。知っていることがあればあるほど、言いたいことが出てくるものです。
みなさんも、自分の好きなことなら、語れることが山ほどあるはずです。
それはみなさんの頭の中にそのことについての知識があるからです。
その一方で、知らないことはどうでしょうか。
「織田信長は足袋をどちらの足から履いていたか?」と聞かれたらどう答えますか?
「知らねーよ」と答えたくなるのではないでしょうか。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より
この例は、とてもわかりやすいものです。
野球好きな人は、何時間でも野球について話せます。
映画好きなら、おすすめ作品をいくらでも紹介できます。
反対に、興味も知識もないテーマでは、一言も出てこないことがあります。
つまり、「話す力」は「知っている量」と切り離せないのです。
頭の中にないものは、言葉にならない
本書では最後にこう締めくくっています。
だから、知らないことは話せません。
「うまく話せない」のは、そもそも話す内容が頭の中にないからなのです。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より
この言葉は、とても本質的です。
私たちは、「話すのが苦手」なのではありません。
頭の中に材料がないテーマでは、誰でも話せないのです。
逆に言えば、経験を増やし、本を読み、人と話し、知識を蓄えれば、自然と話せる内容も増えていきます。
話し上手になる近道は
「話し方」を学ぶことではない
『言語化だけじゃ伝わんない』は、「話す力」の正体を違う角度から教えてくれます。
話すのが苦手な人は、話し方ばかりを気にしがちです。
でも、本当に必要なのは、話す技術よりも「頭の中にあるもの」を増やすことです。
見たこと。体験したこと。考えたこと。好きになったこと。
そうした材料が増えれば、「何を話そう」と悩む時間は減っていきます。
話し上手な人とは、話し方が特別うまい人ではありません。
頭の中に、人に伝えたいものがたくさん入っている人なのです。
(本記事は、書籍『言語化だけじゃ伝わんない –––– 絵を描くように「考える・伝える」技術』を元にしたオリジナル記事です。)
1981年静岡県生まれ。制作会社にて、雑誌タイアップ広告の制作進行を務めたのち、フリーランスのライターを経験。国際情勢関連の英日翻訳をやりながら、2011年からイラストレーターの活動をスタート。現在は書籍・雑誌・広告など幅広く活動中。特に、ビジネス書や新書での挿絵や図解を担当することが多く、10年以上、活躍している。
これまで、装画・イラストを担当した書籍は200冊以上。『言語化だけじゃ伝わんない –––– 絵を描くように「考える・伝える」技術』(ダイヤモンド社)が初の単著となる。








