「やってみよう」と口ずさむ

 新しいアプローチを試してみたいときや、誰かから今までにない考え方や方法を提案されたとき。まずはあなたが率先して「やってみよう!」と言ってみよう。

 そこから感化され、新たな行動をしてみたい、新たな方法を考えてみたいと思う人が増えればしめたものだ。

 事例紹介:「やってみよう」が口ぐせの組織
 製造業におけるDXの先進企業としてメディアなどで紹介される老舗企業、旭鉄工(愛知県碧南市)では、社長の木村哲也さんが「やってみよう」を口ぐせのように連発している。徐々に社内に浸透し、今では日常的に「やってみよう」と口にし、新たなやり方にチャレンジする人が増えたという。同社の社内Slackのグループチャットで「やってみよう」と検索すると、社員の皆さんが発信した「やってみよう」のメッセージが数多くヒットする(日々コミュニケーションをテキスト化していると、このようにメンバーの意識や“組織の口ぐせ”の変化、すなわち組織文化の変化を可視化して捉えることができる。口頭文化の組織ではこうはいかない)。

「その方法があったか!」と発する

 会議で誰かが意見提案した際はもちろん、日常の雑談も含めて誰かから新たな発想や方法が投げ込まれたとき、この一言を発しよう。

「その方法があったか!」

 今までとは異なるやり方にトライして新たな成功パターンに気づいたときや、成功の手ごたえを感じたときも同様だ。この言葉によって「今までとは異なる見方をしていいんだ」「新たな方法を試していいんだ」という空気と効力感が醸成される。

 たとえ実際にはその方法を試すことができなかったとしても、見方や考え方そのものを肯定しよう。
 
それが良いのかどうかはいったん脇に置いて、まずは新しい意見や方法に出会えたことに感動し、喜ぼう。

言葉が思考を変え、行動を変え、体質を変える

 一人の口ぐせが伝播し、チームの口ぐせになる。やがて組織の口ぐせになる。そして組織の口ぐせは、組織の思考習慣や行動習慣そのものを変えていく。
 あなたが率先して、口ぐせのインフルエンサーになろう。

 ちなみに筆者も数多くの口ぐせを生み出してきた。やがて顧問先の企業全体の口ぐせになり、思考や行動が変わり、ビジネスモデルさえ変わってしまった事例もある。口ぐせをあなどることなかれ。

 もちろん、新たな方法やアプローチを知るためには外にも目を向けなければならない。新聞や本を読む、外部の講演を聞く、インターネットニュースを収集して社内やチーム内に流すなど、情報のシャワーを浴びる、浴びせることも忘れずに。

 一歩踏みだす!

 ・「やってみよう!」「その方法があったか!」を口ぐせにする
 ・言葉から、組織の思考、行動、体質を変えていく

(本稿は、書籍『組織の体質を現場から変える100の方法』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です)