国民一人ひとりに番号を振るマイナンバー法が衆議院を通過した。参議院の通過も予定されており、2016年から、国民一人ひとりに住民基本台帳に基づく番号を割り振って、年金、医療、介護保険、福祉、労働保険、税務の6分野での活用する、番号制度が始まる。
個人個人に生涯変わらない番号が交付され、それを活用することにより、本人の申請を前提にしたこれまでの行政サービスの在り方をかえ、国民に利便性の高いサービスを構築することができるようになる。
一方、番号の活用が限られているではないか、目に見える利便を示すべきだという批判がある。もっともな話だが、今回の法律成立の意義は、番号というシステムを構築した、つまりハードウェアを導入したということである。
今後どのように行政に役立てるのかという点は、基本的にこれからの議論である。私としても、実際に稼働する2016年までに、いろいろな活用法を提言していきたい。
税務にどのように活用されるか
税務に活用する番号という見地からは、「正確な所得の把握」が要求されている。以下その観点から、税務における番号の活用について考えてみたい。
まず、税務当局は番号をどのように活用するのか、そのメカニズムについて説明する。
現在、税務当局は、納税者が所得を得る様々な取引について、相手方である給与支払者や金融機関などから、支払調書の提出をすることを法律で義務付けている。たとえば給与の源泉徴収票、配当の支払額、30万円を超える株式譲渡(の事実)などが、それぞれ会社や証券会社から税務署に報告される。
一方で納税者は、給与、配当、株式譲渡益などを税務署に申告する(給与については年末調整があり、配当・株式譲渡益については特定口座の場合は申告不要)。