海外投資家やアクティビストがこぞって注目しているのが、不動産含み益を多く抱える“不動産リッチ企業”だ。投資家が割安な不動産リッチ企業を判別するためには、時価総額に対する不動産含み益の割合も重要な指標となる。特集『狙え!不動産リッチ企業』の#2では、この指標でランキングを作成。すると、自社の時価総額よりも不動産含み益の方が大きい上場企業が27社もあることが判明した。驚異の381%で1位となった企業はどこか。(ダイヤモンド編集部 田中唯翔、永吉泰貴)
フジテレビもアクティビストの標的に
不動産リッチ企業に迫る売却圧力
不動産含み益を多く抱える“不動産リッチ企業”への投資家の注目が高まっていることを受け、#1では不動産含み益の大きい上場企業100社を紹介した(『【不動産の含み益が多い企業ランキング100】JR東日本、日本郵政、イオンがトップ10にランクイン!1位は5兆円近いあの企業』)。
不動産含み益の金額に加え、割安な不動産リッチ企業を見極める上で投資家が確認すべき指標は、時価総額に対する不動産含み益の割合だ。実際、建部和礼・ゴールドマン・サックス証券日本株ストラテジストによると、時価総額に対する不動産含み益の比率が大きい銘柄リストを求める声が、海外投資家を中心に急増しているという。
なぜか。不動産含み益の割合が大きい企業はアクティビストらの格好の的であり、株主からの売却圧力が将来の株価上昇に寄与するとの見方が広がっているからだ。
タレントの中居正広氏を巡る女性トラブル騒動でCM差し替えが相次ぐフジ・メディア・ホールディングス(HD)も、その典型である。同社の不動産含み益は688億円と巨額で、時価総額に対する比率が17%にも達する。この余剰資本に目を付けた米投資ファンドのダルトン・インベストメンツは、フジ・メディア・HD傘下の不動産デベロッパーでオフィスビルを24棟運営しているサンケイビルの売却を要求している。低PBR(株価純資産倍率)で不動産リッチという条件が揃っていれば、きっかけ一つで不動産売却に向けた機運も一気に高まるのだ。
このような潮流を踏まえ、ダイヤモンド編集部は上場企業を対象に、時価総額に対する不動産含み益の比率を算出した。すると、自社の市場価値である時価総額よりも不動産含み益の方が大きい上場企業は27社もあることが判明。フジの17%が見劣りするほど不動産リッチな銘柄が山ほどあるのだ。
次ページでは、時価総額よりも不動産含み益の方が大きい上場企業27社に加え、アクティビストがターゲットに定めた不動産リッチ企業を公開。アクティビストが大量保有した後から直近までの株価騰落率を見ると、フジ・メディア・HDよりもはるかに株価が上昇している企業が多くあることも分かった。