総予測2025#87Photo by Ryo Horiuchi

堅調なオフィス市況に加え、ホテル、レジャー、商業施設がコロナ禍からV字回復を果たし、不動産業界は2025年も絶好調となる見通しだ。三井不動産、三菱地所、住友不動産の財閥系不動産デベロッパー3社はいずれも4期連続で過去最高益を更新するとみられる。そんな中、大きな業界序列の変化が起きようとしている。特集『総予測2025』の本稿では、業界2位の椅子を巡って激しく競り合う三菱地所と住友不動産のバトルに迫る。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)

住友不動産が2年連続で
業界2位へ

 不動産業界にとって、2024年は23年に続いて絶好調な一年となった。新型コロナウイルス禍の呪縛から完全に解放され、オフィス回帰の動きが加速。テナント需要の高まりで空室率が改善し、それに伴ってオフィス賃料も上昇して好調な市況となった。

 コロナ禍で需要が蒸発したホテル、レジャー、商業施設は、円安も追い風となって過去最高となる見通しの訪日外国人観光客によってV字回復を果たした。とりわけホテル事業では、客室1室当たりの売上額が、コロナ禍前の水準を上回るほどの活況ぶりを見せた。

 これらにより、三井不動産、三菱地所、住友不動産の財閥系3社は25年3月期、いずれも4期連続で過去最高益を更新する見通しだ。そして、ここで大きな業界序列の変化が起きようとしている。

 ほぼ万年3位だった住友不動産が、24年3月期に経常利益と最終利益で業界2位の三菱地所を抜き去ったが、なんと初めて2年連続で経常利益と最終利益が三菱地所を上回る見通しなのだ。つまり、住友不動産が業界2位の地位を確立する日が近づいているのである。

 三菱地所にとって、25年は業界3位に“完全陥落”するかどうか正念場を迎える一年になりそうだ。

次ページでは、三菱地所が業界3位に陥落するかどうかの鍵を握る大型プロジェクトの質と量を解剖する。また三菱地所が業界2位を奪還する戦略も解き明かす。その戦略でつまずけば、三菱地所は業界3位に定着する現実味を帯びる。