高配当・半導体・生成AI超進化!5年後の業界地図#9Photo:PIXTA

不動産の決算が好調だ。大型プロジェクトも多く抱え、好業績はしばらく続きそう。一方、ある「トレンドの事業」に注目すると、他社に比べて成長率が見劣りする企業も浮き彫りとなる。特集『高配当・半導体・生成AI超進化!5年後の業界地図』(全19回)の#9では、不動産と住宅業界にフォーカスし、その成長性を徹底的に見極める。加えて、実は高配当銘柄が多い不動産・住宅セクター。利回り5%に迫る有望銘柄をチェックしていこう。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)

不動産の好決算が続く
5年後の優勝劣敗は?

 不動産大手各社の業績が好調だ。2024年3月期の決算で、三菱地所や三井不動産など大手5社が全て過去最高益を更新した。25年3月期の業績見通しでも、各社が最終増益を見込む。

 決算前に上昇基調にあった株価は、材料の出尽くし感や金利の先高観などから決算後には一服。それでも、堅調な不動産市場を背景に、業績伸長は当面続く見通しだ。

 特に、収益の大きな柱であるオフィス賃貸事業に関しては、今後続々と開業する大型案件を各社が抱えていることが大きい。例えば、三井不は東京都の八重洲2丁目中地区や日本橋1丁目中地区で大規模再開発を進めるほか、三菱地所は国内最高層となる東京・常盤橋のトーチタワーという超大型プロジェクトが目下控えている。

「30年ぐらいまでは不動産各社で大型のパイプラインが見えており、業績の拡大がイメージできる状態だ」。大和証券の増宮守アナリストは、中長期の業績動向についてそう指摘する。

 オフィスについては、これまで高止まりしていた空室率が足元で改善傾向にある。今後、大量供給によって需給が緩むリスクもあるが、「オフィスにも“二極化”の傾向があり、ハイグレードなオフィスや利便性の高い立地のオフィスなどには、手堅い需要があると考えられる」(増宮氏)。今後、オフィス市況全体が軟調に推移した場合でも、大手各社が手掛ける大型オフィスへの影響は比較的薄いのではと、増宮氏は指摘する。

 では、不動産各社は一様に、今後の好業績が期待できるのか。そうとは言い切れない。実は、各社でホットトレンドとなっている「ある事業の比率」に注目すると、不動産の中でも“弱点”を持つ企業の存在が浮かび上がってくるのだ。

 そこで次ページでは、不動産各社の成長性を見極めるとともに、その「弱点」を持つ企業を明らかにしよう。三菱地所、三井不、住友不動産、野村不動産ホールディングス……一体それは、どの企業なのか。

 さらに、不動産だけでなく、大和ハウス工業、積水ハウス、住友林業といった注目のハウスメーカーの論点も分析していく。例えば、「10兆円企業」を目指し、これまで拡大策を推進してきたことで注目を集める大和ハウスだが、海外の成長性に目を向けると別の“有力候補”が浮上してくる。

 加えて、好調な業績を受けて株主還元策を強化する各社だが、その中でもとりわけ利回りが高い企業が存在する。次ページでは、投資妙味があるといえる“有力銘柄”を紹介しよう。

図表:不動産・住宅の5年後 サンプル