狙え!不動産リッチ企業#1 Photo:PIXTA

TOPIX(東証株価指数)採用企業の不動産含み益は、直近10年で2倍以上に増えている。足元で海外投資家が大きな関心を寄せているのは、このような不動産含み益を多く抱える“不動産リッチ企業”だ。特集『狙え!不動産リッチ企業』の#1では、2024年12月までのデータを基に、最新の「不動産の含み益が多い企業」ベスト100社をお届けする。(ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)

膨らみ続ける不動産含み益
海外投資家がこぞって注目

「2024年秋ごろから、不動産含み益に対する海外投資家の注目度が急速に高まった」

 そう話すのは、建部和礼・ゴールドマン・サックス証券日本株ストラテジストだ。

 不動産含み益とは、不動産の現在の市場価格(時価)と取得時の価格(簿価)の差額のことだ。下図のように、賃貸等不動産の簿価に対して時価がより大きく伸びていることから、TOPIX(東証株価指数)採用企業の不動産含み益は直近10年で2倍以上に膨らんでいる。

 このような不動産含み益を多く抱える“不動産リッチ企業”に、海外投資家が大きな関心を寄せている。余剰資本である不動産含み益を狙い、アクティビストら株主からの売却圧力が強まるとの見方があるからだ。

 建部氏は「国内の投資家にとって不動産含み益は目新しいテーマではないものの、海外投資家の認識は異なる。投資妙味のある“新たなテーマ”として脚光を浴びている」と指摘する。

 23年3月の東京証券取引所のPBR(株価純資産倍率)改善要請直後、海外投資家のターゲットはPBR1倍割れなどの低PBR銘柄にあった。その後、ネットキャッシュ比率や政策保有株比率の高い銘柄、親子上場銘柄へと関心が移り、足元では不動産含み益が大きい銘柄リストを求める声が急増したという。

 そこで次ページでは、24年12月までに提出された有価証券報告書を基に、賃貸等不動産の時価と簿価の差額から上場企業の不動産含み益を算出。不動産含み益が大きい企業のランキングを作成し、上位100社を公開する。